5 航空技術の開発


(1) 運輸多目的衛星(MTSAT)を中核とした次世代技術

 現行航空保安システムは、地上からの電波等により航空機の安全運航を支援する方式であるが、この方式には電波覆域による限界があり、洋上等覆域外においては一定水準の航空保安サービスを常時提供できるようにすることは困難である。一方、将来にわたる航空交通の増大や多様化に対応し、航空交通の安全性、効率性及び経済性の一層の向上を図るため、人工衛星やデータリンク等の新しい技術を活用した次世代の航空保安システムを導入し、現行のシステムの限界を克服する必要がある。そのため、次世代の航空保安システムの中核となる、航空管制のための機能を搭載した運輸多目的衛星(MTSAT)を11年夏に打ち上げる計画であり、6年度から衛星の調達を進めている。
 この次世代航空保安システムの導入により、洋上における容量を3倍以上に拡大する等航空交通容量の拡大、航空交通の安全性の向上、効率的な航空交通の形成、効率的な航空保安システムの形成等が可能となる。

(2) 衝突防止技術

 空中衝突の危険性を警告する航空機衝突防止装置について、我が国においても独自に運用評価を行い、7年の国際的な技術基準の制定に一定の役割を果たした。現在、電子航法研究所において、回避性能をより向上させた装置を開発中である。


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