第1章 高度化する安全への要請に対する取り組み

 交通分野においては、安全の確保が基本であり、人、ものの移動がある以上、今後も根本的かつ中心的な課題である。
 交通分野において安全が脅かされる局面は、大別すると3つある。第一は交通事故、第二は大規模災害、第三は交通機関における犯罪行為である。
 第1節では、上記の3つの要因に対応するための運輸省の組織体制について述べる。第2節では、交通事故への対応について述べるが、ここでは、交通機関毎の事故状況・原因分析を行い、安全確保に向けた戦略と施策について示す。第3節では、防災対策について、第4節では交通機関における犯罪行為等への対応策について述べる。

2−1−1図 総合的な交通安全対策
2−1−1図 総合的な交通安全対策

第1節 運輸省における事故災害防止に対する取り組み

 最近、各分野において事故災害が多発している状況にかんがみ、平成11年10月、関係省庁の局長クラスで構成される「事故災害防止安全対策会議」が開催され、政府一体となって人為的ミスに起因する事故の背景に共通して存在する「組織管理」「検査・点検」「従事者の教育訓練」等の問題点と今後の共通的対応策を検討することとなった。
 このため、交通に関する安全行政を推進する運輸省として、率先して安全の確保に取り組むべく、省内に「運輸省事故災害防止安全対策会議」(略称「運輸安全戦略会議」)を設置し、運行(航)マニュアルの遵守等の総点検を実施した。

2−1−2図 運輸省事故災害防止安全対策会議
2−1−2図 運輸省事故災害防止安全対策会議