第2章 ITを中心とする技術革新による交通の高度化

 現代社会における交通の発展は、通信・情報処理技術の発展なしにはあり得なかった。新幹線や航空による高速かつ大量の輸送は、ITの高度活用なくしては考えられない。モータリゼーションの発展、国際海運やトラック輸送等における物流の効率化も同様であり、交通と通信・情報処理技術は密接に関係している。
 21世紀においても、ますます高度化する移動体通信システム等のITの活用が交通の飛躍的な発達を可能とすることが予想される。
 したがって、以下では、現代の交通を支える技術開発をITを軸に俯瞰した上で、これからの交通社会を支える現在の技術開発について説明する。

第1節 現代の交通を支えるIT等の技術開発

1 安全性の向上

(1) 都市間・国際高速交通を支える安全技術

 わが国の都市間交通において大きな役割を果たしている新幹線では、これまでも様々な安全性向上技術が開発され導入されてきた。特に、高度な情報通信技術を活用した運行管理システムは安全性のみならず列車の円滑な運行にも寄与してきている。新幹線運転管理システム「COMTRAC」においては、運行中の全列車の常時監視や遅延時の運転整理作業補助などが行われており、さらに設備管理や車両管理も包括的に行う新幹線総合システムである「COSMOS」といったシステムが開発され、導入されている。
 また、青函トンネル及び本州四国連絡橋の開通により、離島を除く国内のすべての地域が陸上交通で結ばれた。青函トンネルの整備は、高精度の測量・トンネル掘削等の当時の最先端技術により可能となったものであり、また、本四連絡橋についても、厳しい自然条件を克服するための設計、施工法や橋脚に係る海中基礎工事に関する技術等の最先端技術をとり入れることにより整備が可能となっており、様々な技術革新の結集と言うことができる。
 国内旅客船事業においては、高速化のニーズの高まりを受け、昭和50年代に高速艇や水中翼船等の高速船の導入が進展し、52年には全没水型水中翼船ジェットフォイル(43ノット、280総トン)が新潟−佐渡間に就航したが、これらの高速船の安全の確保のため、特殊レーダ、暗視装置等の技術が活用されている。
 さらに船舶航法技術について、ロランC等の地上系電波航法に加え、GPS等の衛星系電波航法システムの出現により船舶交通の安全性が向上した。平成11年2月からは、人工衛星を利用した新しい遭難通信システムGMDSS(Global Maritime Distress and Safety System:海上における遭難及び安全に関する世界的な制度)が導入され、モールス信号のシステムから完全移行している。
 また、船舶がふくそうしている海域においては、昭和52年から各地に設置された海上交通センターにおいて通航船舶の動静情報等の収集・コンピュータ処理が行われ、その処理データを基に海上交通に関する情報提供と法令に基づく航行管制を一元的に実施している。
 航空分野においても、主に管制の分野で情報通信技術を活用した安全性向上のための技術開発が進められ、国際民間航空機関(ICAO)方針に基づき、管制業務に係るシステムの電算化・自動化が行われた。また、マニュアル管制方式(航空機からの位置情報に基づく管制)からレーダー管制方式(レーダー情報に基づく管制)への移行が図られてきた。
 空港においては、近年航空機の発着回数の増加や航空機の大型化に伴度の測量・トンネル掘削等の当時の最先端技術により可能となったものであり、また、本四連絡橋についても、厳しい自然条件を克服するための設計、施工法や橋脚に係る海中基礎工事に関する技術等の最先端技術をとり入れることにより整備が可能となっており、様々な技術革新の結集と言うことができる。
 国内旅客船事業においては、高速化のニーズの高まりを受け、昭和50年代に高速艇や水中翼船等の高速船の導入が進展し、52年には全没水型水中翼船ジェットフォイル(43ノット、280総トン)が新潟−佐渡間に就航したが、これらの高速船の安全の確保のため、特殊レーダ、暗視装置等の技術が活用されている。
 さらに船舶航法技術について、ロランC等の地上系電波航法に加え、GPS等の衛星系電波航法システムの出現により船舶交通の安全性が向上した。平成11年2月からは、人工衛星を利用した新しい遭難通信システムGMDSS(Global Maritime Distress and Safety System:海上における遭難及び安全に関する世界的な制度)が導入され、モールス信号のシステムから完全移行している。
 また、船舶がふくそうしている海域においては、昭和52年から各地に設置された海上交通センターにおいて通航船舶の動静情報等の収集・コンピュータ処理が行われ、その処理データを基に海上交通に関する情報提供と法令に基づく航行管制を一元的に実施している。
 航空分野においても、主に管制の分野で情報通信技術を活用した安全性向上のための技術開発が進められ、国際民間航空機関(ICAO)方針に基づき、管制業務に係るシステムの電算化・自動化が行われた。また、マニュアル管制方式(航空機からの位置情報に基づく管制)からレーダー管制方式(レーダー情報に基づく管制)への移行が図られてきた。
 空港においては、近年航空機の発着回数の増加や航空機の大型化に伴い、滑走路や誘導路などの空港舗装にかかる負担は増大の一途をたどっている。航空機運航のさらなる安全性に万全を期すために、舗装の劣化状況等を解析するための非破壊検査を一部導入するなど予防保全方式への移行に向けた準備を進めている。
 さらに海上空港施設に関して、水深約18mの海上に世界にも前例のない大規模工事で最新技術を駆使して建設された関西国際空港は、建設後の沈下に十分配慮する必要があった。特に旅客ターミナルビルは、多くの機能が集積された長さ1700mの長大な建築物であり、わずかな不同沈下も許されないものである。
 このため、ターミナルビル全域にわたり、沈下の監視システムを設置するとともに、ターミナルビルの全ての柱脚部を油圧ジャッキにより上下調節可能な構造としており、これにより、不同沈下による建物の影響を未然に防ぎ、建物を水平に保っている。

2−2−1図 GMDSSにおける海上安全通信

(2) 地域交通を支える安全技術

 厳しい通勤・通学時の混雑緩和を図るために過密なダイヤで運行する都市鉄道の分野では、施設面で自動列車停止装置ATSや、ATSに加えて速度調節機能を持つ自動列車制御装置ATCが導入されている。現在では速度照査形自動列車停止装置(ATS-P形)やデジタルATCといった発展形が開発され、また列車集中制御(CTC)等が導入されるなど、さらなる安全性向上が図られている。
 また、大都市における地下空間の高度利用を可能にするために、地下高速鉄道の整備においては泥水加圧式シールド工法をはじめとする様々な掘削等の技術が開発・適用されており、現在の高密度な地下鉄ネットワークが整備された。
 自動車交通分野では乗員の安全性向上のため、エアバック、ABS(Anti-lock Brake System)などの安全技術が開発され普及してきた。さらに車体構造として、車体の前後部をつぶれやすい構造にすることで衝突時の衝撃荷重を吸収し、同時に高強度キャビンにより乗員の生存空間を確保するボディ構造が開発、採用されている。

シールド工法による工事風景(着脱式泥水3連型駅シールド機)
シールド工法による工事風景(着脱式泥水3連型駅シールド機)

衝撃を吸収する車体構造の開発
衝撃を吸収する車体構造の開発

2 災害対策、環境対策

(1) 気象庁の取り組み

 気象庁は、昭和34年に我が国官公庁初の大型コンピューターを導入し日々の業務への予報モデルの利用を開始したのを始め、49年には全国約1,300カ所の観測所から1時間毎に自動的に気象観測データを収集する地域気象観測システム(アメダス)の運用を開始した。52年には静止気象衛星「ひまわり」を打ち上げ、宇宙から台風・低気圧等の動向を把握するなど、常に最新の技術を導入し、適時・適切な情報提供に努め、我が国の防災・交通安全に貢献してきた。なお、「ひまわり」の雲画像はアジアや南太平洋各国などにも配信されており、各国の防災活動にも貢献している。
 さらに現在は、国内外の様々な気象観測データを収集・解析・予測するスーパーコンピュータを含む情報ネットワークを運用するとともに、平成9年度には「緊急防災情報ネットワーク」を構築し、全国の気象台や防災関係機関等との間で、インターネット技術を活用した画像情報主体の情報提供機能の強化を図ったところである。
 また、5年の北海道南西沖地震を契機として、津波の有無を迅速に判断するため、従来の観測網を見直し、全国約180カ所に地震計を配置した津波地震早期検知網を整備した。これらの地震データはオンライン・リアルタイムで各地域の拠点となる気象台へ伝送され、迅速な津波予報や地震活動の監視に利用されている。

(2) 地震災害への対応

 鉄道分野では、地震発生時の列車の安全確保のため、(財)鉄道総合技術研究所において地震早期検知・警報システム「UrEDAS」が開発され、東海道・山陽新幹線で導入されている。UrEDASとは、初期微動の段階で地震発生位置や地震規模を自動的に検知することにより、主要動が到達する前に列車を減速させるシステムである。
 現在、このUrEDASシステムに、警報後の的確な運転再開判断や地震被害箇所の自動予測を可能とする復旧支援システムである「HERAS」を組み合わせて、より高度な地震防災システムの構築が進められている。
 また、気象庁では、発生した大地震を震源の近傍で速やかに捉え、震源から離れた場所に対して地震波の主要動が到達する前に予想される地震動の強さ等の情報を、通信網を利用して伝え、地震被害の防止・軽減を図る「ナウキャスト地震情報」の情報提供及び利用方法について検討を進めている。
 また港湾においても、三陸沖地震を契機として大水深防波堤・軟弱地盤上の新構造防波堤・耐震強化岸壁等の港湾建設技術開発が行われており、なかでも緊急物資を扱う耐震強化岸壁については、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、8年12月に策定された「港湾における大規模地震対策施設整備の基本方針」に基づき整備が進められている。
 さらに、震災時において迅速な復旧作業を行うために、「浮体式防災基地」の配備が進んでいる。浮体式防災基地とは、耐震強化岸壁がない港において、震災により岸壁が壊れて、救援物資を載せた船舶が接岸できない場合に、崩壊した岸壁や護岸の前面に係留して、仮設岸壁や防災基地として機能を発揮させるもので、貨物船1000D/Wの係留、中型及び小型ヘリコプターの離発着、トラッククレーン25t吊の走行、甲板上のテント設営、救援物資の一時保管等、多目的な利用が可能となっている。この浮体式防災基地は、現在、名古屋港(伊勢湾)、横浜港(東京湾)、大阪港(大阪湾)に配備されている。
 また空港においては、東京国際空港のB滑走路(12年3月供用開始)及びA滑走路西側平行誘導路(12年度末完成予定)について、大規模地震に対応するため、国内では初めて地盤改良による耐震化を図っている。

2−2−2図 UrEDASのしくみ

耐震強化岸壁
耐震強化岸壁

(3) 騒音対策技術

 鉄道分野では、新幹線等において騒音低減のための技術開発が進められてきている。高速化を追求する新幹線では、重量の2.5乗に比例して転動音(振動)が発生し、また、高速で風を切ることにより空力音が発生する。それらの騒音が社会的な問題となったことから、その抑制を図るため車体の軽量化や先頭形状の流線型化、車体表面の平滑化などの改良が進められてきた。
 自動車分野においては、冷却系、排気系、騒音系等の各音源別の寄与率を詳細に分析し、自動車総体として騒音の低減を図るために必要な騒音低減量を解析し、機能性、重量等の諸性能の確保やコスト等の問題を解決しつつ、各音源ごとの遮蔽等による騒音低減技術の開発を進めてきた。運輸省では、これらの技術開発の動向を見ながら、逐次、自動車騒音の規制強化を行っているところである。
 航空の分野では、ジェット機のエンジンに吸音材を装着する方法等が開発されてきた。またB−747SRやDC−10といった、在来型に比べて低騒音の大型機が開発されたが、運輸省によるICAO基準に準拠した騒音基準適合証明制度(昭和50年)を契機に国際線、国内線への導入が進展した。

2−2−3図 車両からでる音を減らす工夫

(4) 排ガス対策

 自動車排出ガス対策としては、ガソリン・ディーゼル車について窒素酸化物(NOx)及び粒子状物質(PM)の低減のための対策の1つとして、各運転状態に応じ燃料噴射時期、噴射量の最適化を行う電子制御燃料噴射システム等の技術開発が進められている。また、ハイブリッド自動車をはじめとして、圧縮天然ガス(CNG)自動車、燃料電池自動車やジメチルエーテル自動車といった低公害車の開発・普及も進められている。特に、複数の動力源を組み合わせて低公害化や省エネルギー化を図るハイブリット自動車については、乗用車については平成9年より量販化され、現在急速に普及が進んでいる。運輸省ではこれらの技術開発の動向を見ながら排出ガス規制の強化等基準の整備を行っているところである。
 また、海上交通分野においても、船舶では推進抵抗の軽減、船体の軽量化、エンジンの効率改善、船内エネルギーの有効活用等エネルギー消費効率の向上をめざした技術開発が進められ、VLCCでみると、燃料消費量が約40%減少したとの調査結果がまとめられている。

2−2−4図 国産乗用車燃費推移
2−2−5図 低公害車燃料別普及台数の推移

(5) 海洋汚染防止

 海上交通分野においては、MARPOL73/78条約による海防法改正により船舶に搭載が義務付けられた高性能油水分離装置や油排出監視制御システム等の開発が進められるとともに、主要港湾にも海洋環境技術研究所が開発した油回収装置が配備された。さらに、タンカー等の船体構造についても、座礁時の原油流出防止のため、船底の二重構造化(ダブルハル)等が図られてきている。

3 高度化するニーズへの対応、利便性の向上

(1) 自動車検査登録業務の電算化

 自動車保有台数の激増に対処するため、運輸省では、昭和45年から自動車検査登録業務に電子情報処理システムを導入した。同システムは、全国93ヶ所の陸運支局及び自動車検査登録事務所と運輸省の自動車登録管理室(センター)間をデータ伝送回線で結び、オンライン・リアルタイム処理方式により自動車の登録及び検査記録を一元的に管理するものであり、これにより迅速な申請処理が行えるなど、申請者の利便性の向上と陸運支局等の業務処理の合理化が図られている。

2−2−6図 船舶の進化

(2) 各種予約、発券システム

 わが国で実用化された初のオンラインリアルタイム情報システムが、35年に運用を開始した旧国鉄の座席予約情報システム「マルス」(Magnetic Electolonic Automatic Reservation System)であり、「みどりの窓口」等で座席の予約・販売等が行われてきた。以後、民営化後のJR各社をはじめ航空会社、大手旅行代理店などによる端末機設置競争やコンピュータ予約システム(CRS)を使った情報ネットワーク拡大の動きが進行してきた。
 現在では、航空分野において、利用者がインターネット画面上で航空券の予約・購入手続を行い(ネット画面上でのクレジットカード決済も可能)、搭乗日に空港においてチェックイン機にカードを挿入する、またはカウンターでカードを提示することで搭乗手続が完了する「チケットレス」販売や、同じく、ネット画面上で予約・購入手続を行い(カード決済も可能)、確認メールによる通知とともに航空券が購入者に事前送付される「オンライン購入」などのIT関連ビジネスモデルが普及している。

(3) 宅配便サービスの進展

 物流分野では、小口貨物を対象にした宅配便サービスが誕生以来急速な成長を遂げている。消費者サービスの多様化に即し、宅配便事業者はバーコードの自動認識技術を活用して荷物の位置情報をインターネット等により提供し、利用者利便性の向上に努めている。また、一部の大手
 宅配便事業者はバーコードの自動認識技術を応用した荷物の高速かつ自動の仕分けやGPS等を活用した集配送の効率化を実現するための技術開発を進めている。宅配便サービスの大きな特徴として、翌日配達に象徴される速達性、分かりやすい料金体系等があるが、こうしたサービスが全国的に提供されることにより、利用者利便の向上が図られている。

(4) 海上輸送の進化

 わが国の貿易を支える船舶は、形状等の進化を遂げてきた。40年代において重化学工業の進展にともないタンカーの大型化が急速に進展し、20万重量トン以上の超大型タンカーVLCC等が開発された。また、自動車輸出の急増やクリーンエネルギーの需要増加等、わが国の経済成長に伴って高度化・多様化する海上輸送ニーズに適時的確に対応し、自動車運搬船(PCC)、液化天然ガス(LNG)運搬船等の各種専用船が開発された。
 また、かつては港湾荷役は人力に頼ることが多く、荷捌きのための時間がかかったが、コンテナ化や機械化・情報化が進み、効率化が図られてきた。特に41年に出現したコンテナ船の普及によって一般貨物の荷役日数が格段に改善し、滞港日数は減少し海上輸送の効率化が進んだ。またそれに伴いコンテナターミナルの整備等が進められた。
 近年、コンテナ等のユニットロードによる海陸一貫輸送の進展が著しい。特に国際的なコンテナ輸送においては、スケールメリットの追求により6000TEU超のコンテナ船が出現するなど輸送船舶の大型化が急速に進んでいる。このような状況に対応するため、大水深海域における経済的かつ効率的な施設整備技術が開発され、大水深高規格岸壁の整備が進められている。また、高速な荷役作業を実現するコンテナクレーンや効率的なコンテナヤード管理を実現するターミナル情報システムが開発され、これらを導入した高能率なコンテナターミナルの整備が進められている。

コンテナ船とガントリークレーン
コンテナ船とガントリークレーン

(5) 自動車交通の利便性向上

 自動車交通における大量輸送を役割とするバスについては、より一層の利便性向上を図るため様々な技術開発がなされてきた。特にITを活用した、位置情報を集約的に把握して運行を管理するバスロケーションシステム、また鉄道においても使われているストアードフェア方式の乗車カード、高齢者や身体障害者等の移動を円滑化するためノンステップバス等の開発及び導入が進められている。
 またタクシーにおいても、利用者の利便性と速達性の向上を図るため、渋滞が著しい都市部を中心にGPSやカーナビゲーションの導入がすすんでいる。

(6) 乗車カード

 60年代のプリペイドカード(運賃前払い式カード)の実用化に続き、平成に入り、鉄道事業者等によるストアードフェアカード(改札時に運賃が自動的に引き落とされるカード)の導入が進められた。
 平成8年3月には関西地区の5社・局の鉄道事業者において、12年10月からは関東地区の17社・局の鉄道事業者において、共通乗車カードシステムが導入され、利用者の利便性は飛躍的に向上している。これらの進展を可能としたのは自動改札の導入の進展であり、11年3月現在では2,706駅、20,305箇所に設置されるに至っている。

コラム  鉄道共通乗車カードシステム「パスネット」
 平成12年の10月14日【鉄道の日】より、関東地区の鉄道事業者17社・局(注1)は、共通乗車カードシステム「パスネット」を導入した。関西地区においては平成4年より同様のシステム「スルッとKANSAI」が、鉄道事業者をはじめとして導入され、SFカードシステムの共通化が進められているところであるが、関東地区においては8年3月の営団地下鉄、都営地下鉄のSFカード共通化以降、初の大規模なシステムの共通化となった。
 これにより、「パスネット」を導入する各鉄道事業者の発行するSFカードにより、どの鉄道でもキップを買わずに自動改札にカードを直接投入することで乗り降りが可能になるとともに、券売機による乗車券等の購入のほか、精算機による精算も可能となった。
 路線延長1,477.7km、966駅を、キップを買わずに同一のカードで乗り降りできることになり、乗り継ぎ利便性の向上等、旅客へのサービスの向上が期待される。
 また13年以降には参加事業者が20社・局(注2)(路線延長1,630.3km、駅数1,091駅)と「パスネット」導入事業者のさらなる拡大が予定されている。

(注1) 12年10月導入の事業者
  営団地下鉄、小田急、京王、京成、相鉄、新京成、西武、多摩モノレール、東急、東京臨海、東武、東葉高速、都営地下鉄、北総、ゆりかもめ、横浜高速(こどもの国線)、横浜市営地下鉄

(注2) 2001年以降導入予定事業者
  京急、埼玉高速、舞浜リゾートライン