第1節 国際観光交流の促進
1 外国人訪日旅行の現状
コラム 「新ウェルカムプラン21」の推進 |
平成12年5月に開催された「観光産業振興フォーラム」において「訪日外客倍増に向けた取り組みに関する緊急提言」が採択され、概ね2007年を目途に外客数800万人を目標とすることとした「新ウェルカムプラン21」が取りまとめられた。「新ウェルカムプラン21」においては、従来の「ウェルカムプラン21」に基づく取り組みに加えて、 イ.外国人の来訪促進に関する国民的合意の形成 ロ.国・地方における外国人の来訪促進施策の充実強化 ハ.民間の観光業界における外国人来訪促進のための取り組みの充実強化 の事項がもりこまれている。現在、同プランに基づき、外客倍増に向けて、官民一体となって積極的に取り組んでいるところである。 |
3−2−3図 国際観光テーマ地区一覧 3−2−4図 国際交流拠点(国際交流村)・快適観光空間全国配置図 |
名称 | 導入年月 | 有効地域 | 加盟施設数 | 備考 |
北海道ウェルカムガイドブック | 平成10年12月 | 北海道 | 156 |
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あおもりウェルカムカード | 平成9年10月 | 青森県 | 172 |
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成田ウェルカムカード | 平成9年11月 | 成田国際観光モデル地区(成田市、佐倉市、栄町、芝山町) | 51 |
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長浜カルチャーカード | 平成7年6月 | 長浜市及び湖北地域12町 | 89 |
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関西観光ウェルカムガイドブック | 平成11年1月 | 大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県・和歌山県・三重県・徳島県・福井県 | 590 |
有料(700円) 日本人も利用可 |
瀬戸内ウェルカムカード | 平成12年5月 | 瀬戸内国際観光テーマ地区(広島県、山口県、愛媛県) | 344 |
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かがわウェルカムカード | 平成10年8月 | 香川県 | 170 |
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北九州ウェルカムカード | 平成12年6月 | 北九州市 | 93 |
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福岡ウェルカムカード | 平成11年2月 | 福岡市 | 140 |
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| 事業者 | 割引制度 | 割引対象及び価格 |
航空 | 日本航空 |
「WELCOME TO JA PAN運賃」 |
海外在住者の海外発国内乗り継ぎの際の国内航空運賃の割引 2区間25,200円〜5区間63,000円 |
全日空 | 「VISIT JAPAN FARE」 |
同上 大人普通運賃の50%割引 | |
鉄道 | JR西日本 |
「JR− WEST RAIL PASS」 |
乗り降り自由な周遊タイプ(各エリア内のJR西日本全線) 関西エリア4日6,000円、山陽エリア8日30,000円 |
JR東日本 | 「JR EAST PASS」 |
同上(JR東日本全線) 連続5日20,000円 連続10日32,000円 フレックス4日20,000円 | |
JR九州 | 「JR-KYUSHU RAIL PASS」 |
同上(JR九州) 5日15,000円 7日20,000円 | |
JR全線 | 「JAPAN RAIL PASS」 |
同上(JR全線) 普通車用(7日28,300〜21日57,700円)、グリーン車用(7日37,800円〜21日79,600円) | |
共通乗車船券 | 名鉄グループ | 名鉄Nice Day Pass |
乗り降り自由な周遊タイプ(名鉄グループ7社の鉄道・バス・船舶) 連続2日(大人3,000円、小人1,500円) 13宿泊施設及び15観光施設の割引 |
(注) 運輸省運輸政策局観光部作成。 |
訪日旅行促進キャンペーン(沖縄)
「国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律(コンベンション法)」に基づき、運輸大臣は現在49都市を「国際会議観光都市」として認定している。
国際観光振興会は、認定を受けた都市に対して国際コンベンション等の誘致に関する情報提供、国際会議観光都市の宣伝等を行うとともに、寄附金の募集、交付金等の事業を行っている。
(2) 国際会議場の整備
「民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(民活法)」に基づき、国際会議場の整備を行う民間事業者に対し支援を行うこととしており、これまでに横浜国際平和会議場等4施設が認定され、それぞれ供用を開始している。
1 魅力ある観光地づくり
観光分野における良質な労働者を育成するため、12年2月から3月にかけて全国約100ヶ所で「観光ワーキングセミナー」を開催し、12年3月には、ビデオ、CD-ROM等による観光サービス業の職場紹介等の情報提供を行う「観光ワーキング紹介ライブラリー」を開設した。
また、12年度より学識経験者等からなる観光まちづくりアドバイザーを地域に派遣し、観光まちづくりや人材育成等の取り組みに関する提言等を行うことにより、観光による地域の振興、雇用の創出を図ることも行っている。
(2) 観光基盤施設の整備
自然の中に低廉かつ快適に利用できるオートキャンプ施設(テントサイトまで車で乗り入れられるキャンプ場)を滞在基地として整備している。この自動車旅行拠点は、現在13地区で整備が終了し、3地区で整備が行われている〔3−2−8図〕。
また、12年度から新たに小グループや家族が自動車を利用して行う旅行が大幅に拡大しているのに伴い、自動車旅行者の利便の増進を図り、魅力ある個性的な観光地を創出するため、一定のテーマの下に、観光案内板、休憩施設の整備を行う「広域観光テーマルート」の整備事業の制度が創設された。
このほか、観光基盤施設として、国際交流拠点・快適観光空間の整備が行われている(P355参照)。
ゆとりある国民生活の実現と地域の振興を図ること等を目的とした総合保養地域整備法に基づき、これまでに総合保養地域の整備に関する42の基本構想が同意され、各地域で自然環境の保全等に配慮しつつ、総合保養地域の整備が進められている。
(4) 観光資源の保護・活用を通じた観光地づくり
我が国の歴史的・文化的に価値の高い観光資源を保護・保存し、その活用を図りつつ後世に継承することは、魅力ある観光地づくりのために重要である。このため、(財)日本ナショナルトラストでは岐阜県白川郷合掌造り民家、トラストトレイン(静岡県大井川鉄道のSL列車)、近代和風住宅旧安田邸(東京都文京区)等といった貴重な観光資源の保護・活用等の事業を行っているところである。
観光のより一層の振興を図るため、「90年代観光振興行動計画(TAP90′S)」に基づき、これまで約10年間にわたり開催してきた「観光立県推進会議」に引き続き、10年からは、この成果をさらに発展させ、原則として地方ブロック単位で「広域連携観光振興会議(WAC21)」を開催し、広域連携による観光振興を図るとともに地域の活性化・国際化を目指すこととしている。12年度には第3回WAC21が南九州ブロックにおいて開催される予定である〔3−2−9図〕。
(2) 地域伝統芸能等を活用した観光の振興
地域の観光振興における効果を狙って、「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律」に基づき、地域伝統芸能等を活用した地域レベルのイベントに対して支援を行っている。また、同法の目的に沿った行事として、「第8回地域伝統芸能全国フェスティバル(北海道)」(12年8月10日〜12日)が開催された。
(3)旅フェア2000の開催
地域と旅行関連産業が連携し、国内旅行総需要の喚起を図るため、12年4月19日から23日まで、旅に関する情報の提供を行う旅の総合見本市としての「旅フェア2000」が千葉県の幕張メッセで開催され、約26万人の来場者を記録した。
コラム 各方面における観光振興気運の高まり |
21世紀に向けて、観光に向けられる期待がこれまでになく高まってきており、これを受けて新しい動きがみられた。 観光産業においては、経済発展や国民生活の向上に貢献するという重要な社会的使命を果たすため、主な観光関連企業及び関係団体からなる「観光産業振興フォーラム」が平成11年12月に発足し、これまでに、観光産業の重要性、魅力ある観光交流空間の整備、祝日三連休化の増進の必要性、訪日外客の倍増等についてアピールする等の活動を行っている。 また、観光を通じた地域振興の観点からは、観光振興を地域活性化の主要な柱として地域の様々な取り組みを更に促進していくため、11年11月に北海道観光振興のために設立された「北海道の観光を考える百人委員会」に引き続き、北東北、沖縄、四国、中部、関西、九州、中国において「観光を考える百人委員会」が設立される等、近年、各方面において我が国の観光振興に向けた気運が急速な高まりをみせている。
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1 観光産業の現状
今後生活で特に重点を置きたい分野として「レジャー・余暇生活」を挙げる国民が最も多く〔3−2−10図〕、また、余暇時間の活用と旅行に関する世論調査では、3日以上の連続休暇が増加した場合、宿泊旅行への志向が最も高くなっている〔3−2−11図〕。
(2) 旅行業の現状
主要旅行業者50社の平成11年度の取扱高は、10年度に比べて国内旅行が1.6%減、海外旅行は2.2%減、合計で1.8%減であった〔3−2−12表〕。
(3) ホテル・旅館業の現状
主要登録ホテルの客室利用状況は全国平均で10年68.6%に対し、11年は68.2%である。10年度の主要登録ホテル・旅館の赤字施設の割合はホテルで9年度61.2%から54.8%と減じ、旅館で9年度51.0%から51.6%と微増している。
12年1月1日から、一部祝日の月曜日指定化のための関連法律が施行された。これにより、12年1月10日の月曜日が成人の日となったが、大手旅行会社を対象に調査を行ったところ、この休暇を利用して1月8日から10日の3日間に出発した旅行者数は、前年の同時期に比べて、国内旅行では約5割、海外旅行では約2割の増加となり、祝日の月曜日指定化による効果が見られた〔3−2−13図〕。
(2) 旅行の促進のための環境づくり
今後、改正祝日法の施行等を踏まえ、祝日三連休の倍増に向けた環境整備等休暇を取りやすい環境整備を行い、長期滞在型旅行の推進等ゆとりある生活の実現を目指していくこととしている。
旅行商品においても、インターネットによる取引が拡大していることから、12年6月に旅行業協会において、インターネットを利用した旅行取引に関するガイドラインを制定し、ガイドラインを遵守している旅行業者のホームページに対し、旅行業協会が適正マーク(e-TBTマーク)を交付することとなった。
(2) 旅行者の安全確保
海外旅行者の安全確保のため、関係省庁と緊密な連絡をとり、旅行業者等を通じ、海外危険情報の旅行者への周知徹底を図ること等の施策を講じている。
3−2−10図 今後の生活の力点の推移 3−2−11図 3日以上の連続休暇における余暇時間の過ごし方 |
| 国内旅行 | 海外旅行 | 合計 |
10年度 | 34,364 | 25,052 | 59,416 |
11年度 | 33,830 | 24,495 | 58,325 |
e−TBT ロゴマーク |