(1) 鉄道


イ 国鉄

  まず,国鉄についてみると,増大する輸送需要を,可動施設の増強,列車の増発によつて何とかまかなつてきた。すなわち,貨物輸送においては, 〔I−4−1図〕に示すとおり,貨車の増強(28%増),貨物列車の増発(26%増)により,貨車キロの増加(28%増)を図り,また貨車の効率的運用によつて,輸送需要の増大に対処してきた。また,旅客輸送においては,客電車の増強(39%増),旅客列車の増発(69%増)により,客車キロの増加(66%増)を図り,増加の一途をたどる輸送需要に対処してきた。その結果,昭和38年度の輸送量は,30年度に対し,貨物では輸送トン数で30%増,輸送トンキロで40%増,また旅客では輸送人員で57%増,輸送人キロで67%増となつており,図からわかるとおり,まがりなりにも輸送需要が消化されてきた。

  しかしながら,貨物輸送においては一日平均在貨トン数は30隼度に79万4000トンであつたが38年度でも86万8000トンとなつており、秋冬繁忙期には大きな駅頭滞貨を生じている。また、旅客輸送については,主要幹線中長離輸送および大都市通勤輸送において,それぞれ春秋・年末年始等の多客期またはピーク時間帯に,激しい混雑を生じており,快適な旅行や通勤・通学からほど遠いものとなつている。たとえば,主要幹線の準急以上の列車の乗車効率は,38年度の一日平均で90%前後となつているが,旅客輸送の季節的波動が大きいため,多客期には定員の2借以上といつた乗車効率も珍らしくない。また,大都市における通勤・通学輸送のひつ迫も後に述べるとおり,著しいものがある。

ロ 私鉄

  つぎに,私鉄についてみると,その主体である旅客輸送においては,大都市の通勤・通学輸送などを中心として,輸送需要は年々増加している。それに対応して輸送力も客電車の増強,列車の増発により,年々拡大されており, 〔I−4−2図〕に示すとおり,30〜38年度で客車キロが47%増強されている。その結果,輸送量は,輸送人員で44%増,輸送人キロで65%増となつており,輸送需要は一応消化されてきた。しかし,大都市の大手私鉄や地下鉄などでは,通勤・通学輸送の著しい増加に伴い,朝夕の混雑時には乗車効率が200%をこえるものも多くなつている。


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