2 対策一国鉄第2次5ヵ年計画


  国鉄は,このような輸送力不足に対する抜本的な対策として,36年度を初年度とする第2次5箇年計画を樹立し,現在まで鋭意実施に努めている。
  第2次5箇年計画の内容は,次のとおりである。
 (1) 東海道線に広軌鉄道を増設すること。
 (2) 主要幹線区約1100キロを複線化し,150キロの複線化に着手すること。
 (3) 主要幹線区を中心に約1700キロの電化を行ない,これを電車化すること。
 (4) 非電化区間および支線区の輸送改善のために約2600両のディーゼル動車と約500両のディーゼル機関車を投入すること。
 (5) 通勤輸送の改善のために,約1100両の電車を投入するとともに,駅その他の施設を改良すること。
  第2次5箇年計画は,38年度でその第3年目を終了したが,39年度計画を含めた進ちよく状況は, 〔I−(I)−24表〕に示すように,全体で69%東海道新幹線を除く一般改良工事では,58%である。

イ 東海道新幹線

  従来の東海道線は,全国鉄営業キロの2.9%の589.5キロの区間において,全国輸送量のうち旅客26%(362億人・キロ),貨物23%(131億トン・キロ)を輸送するわが国の大動脈ともいうべき幹線であるが,急激な輪送需要の増加により,現在では列車増発の余裕が全くなくなつている。
  このため第2次5カ年計画では,東海道線に新たに広軌の複線を増設することを第1目標として工事を推進しその結果,39年10月1日「夢の超特急」として営業洋開始された。
  新幹線開業時の輸送力は,次のとおりである。開業当初は客車360両(30編成,1編成12両,定員987名)をもつて,東京,大阪間を超特急4時周,特急5時間で延28往復運転するが,これによつて可能となる輸送量は,1日約5万5000人,約2832万人キロ,年間約2000万人,約103億人・キロとなる。(実際には,乗車効率は約80%と予想されるので輸送量としてはやや低いものとなろう。)
  なお,40年春にはスピードアップにより、超特急3時間,特急4時間となり1日36往復程度,同年秋には車両120両を増備して50往復程度となる予定である。

ロ 主要幹線の線路増設

  幹線輸送力の増強でその大宗を占めるものは線路増設であるが,その進ちよく状況は, 〔I−(I)−25表〕に示すように,線路増設計画1154キロ(35年度末で全国の複線化率13%を40年度末に18%とする。)に対して38年度末までに417.4キロが完成し,36%の進ちよく率を示しており,なお555.3キロが施行中である。

  このほかに,通勤輸送等により2.7キロの線路増設が行なわれたので,
 38年度末の複線化区間は3047,5キロとなり,国鉄の複線化率は15%となつた。

ハ 幹線電化

  電化は,動力の近代化とともに,けん引力の増大,スピードアップ等により輸送力の増強を図るものであるが,幹線電化の進ちよく状況は 〔I−(I)−26表〕に示すように,電化計画1727キロ(35年度末で全国の電化率13%を40年度末に22%とする。)に対し,38年度末までに810.8キロ,47%が完成し,711.6キロが工事中である。特に信越線は予定区間を100%完成したほか,北陸,山陽,鹿児島,常磐の各線区において着々と進行している。

二 車両増備

  輸送力増強のためには,線路増設,電化等のほかに,可動施設である車両の増備が必要不可欠であるが,車両増備の進ちよく状況は 〔I−(I)−27表〕に示すとおり,38年度末までに蒸気機関車,客車は相当整理されたのに対し,電車,気動車がそれぞれ49%,55%の進ちよく率を示しているほか,貨車の増備も目標の58%と著るしい。


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