4 今後の方向と問題点


  先に述べたように昭和39年2月1日から責任保険の保険金額および政府の保障事業の行なう損害てん補の限度額の大幅な引上げが行なわれたが,強制保険制度をとっている諸外国の例をみると,イギリスの無制限をはじめとしスエーデンの7000万円,スイス1254万円,ノルウェー1000万円,デンマーク780万円等その支払限度額は,はるかに高いのであり,わが国の場合,保険料の負担力等問題は多いが限度額をさらに引き上げる方向に向って,今後いつそう検討を進める必要がある。
  また,原動機付自転車は,現在自動車損害賠償保障法の適用を受けていないが,最近数年間における原動機付自転車の台数と,それによる事故の増加は著しく,台数は38年度末約584万台(自動車台数の約96%に当る)と30年度末に比べ実に8.5倍に達し,38年中の原動機付自転車による事故の死傷者数も8万6570人(自動車事故によるものの約34%に当る)にのぼった。このような現状にかんがみ,原動機付自転車による事故の被害者を救済する必要性は大きく,原動機付自転車についても自動車損害賠償保障法を適期するよう検討中である。
  さらに,道路交通に関する条約および自家用自動車の時輸入に関する通関条約への加入に伴い39年9月6日からは締約国登録自動車が1年未満の短期間ならば比較的容易にわが国へ入りうることとなったが,これらの自動車には車検が免除されるから,責任保険への加入を確保するための手段として,軽自動車同様保険標章の表示義務を課することとしたのが注自される。


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