第3節 輸送機の現勢および新機種の開発
1963年中に引渡さこれたダーポ・ジェット航空機は106機である。(1962年は157機)このうち半分以上が長距離用のボーイング707,720,コンベア990,880およびダグラスDC8である。新たに登場したいわば第二期のジェットである中距離用のカラベル,トライデント,ボーイング727は,およそ3分の1を占め,残りは長距離貨客両用のボーイング707-320およびDC-8Fであり,これらは1963年に始めて運航を開始した。
民間航空用に発注されたターボ・ジェット航空機は1962年の96機より72%増加し158機となつたが,大半が中短距離用のトライデント,ボーイング727,BAC111,ダグラスDC9で,このうちDC9は1963年に始めて発注された機種である。
ターボ・プロップ機で1963年に大量引渡され,又は発注されたものは,短距離用の最大離陸重量20トン,最大座席数45程度のもりにかぎられている。すなわち引渡しをうけたターボ・プロップ機54のうち47がF27フレンドシップ,ハンドレィ・ペイジ,ヘラルド,アプロ748によつて占められている。発注についても30機のうち26機がこれらの航空機である。ブリタニア,エレクトラ,ヴァンカード,ヴァイカウント,CL44,アーゴシー等はほとんど全部引渡されているが,ジェット機により代替されつつあり,第一線よりはじよじよに姿を消している。
ピストン機は1963年末現在で3600機あり全世界民間航空機の66.4%を占めているが,ジェット機等より稼働率が低く,世界の民間航空の輸送力の半分以上はジェット機が占めている。
フランスのシュド・アヴィアシイオン社とイギリスのブリテイシュエアクラフト.コーポレイションの2社が共同して推進している超音速機コンコード計画は1963年にもさらに具体化している。現在の計画は時速2335キロ,約100人乗りとなつているが,これをさらに改良しようという動きがあり,これが実施されれば1970年とされていた引渡し時期は1年は遅れることになると思われる。航続距離は5955キロと推定されている。1963年末現在で33機がエール・フランス,BOAC,PAA,TWA,コンチネンタル,MEAより発注されている。
米国においては,政府と企業の間において超音速機開発費の分担について合意が成立しないため,かなりの遅れをみせているもようである。米国政府は75%政府負担,25%民間企業負担という提案を行なつているが,高額にすぎると民間製造業者ば反対している。一方本年初め,米国連邦航空庁は超音遠機の原型について検討を開始した。これによると,巡航速度マッハ22以上,125〜160座席,13.6〜18.1トンの有償塔載量をもつて6450キロの航続性能を考えており,英,仏のコンコードよりかなり大型のものとなる。1963年末まで50機以上が米国航空企業およびアリタリア,カンタス,エア・インディア,日本航空より発注されている。
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