第2章 港湾の管理運営の改善

  新港湾整備5カ年計画の実施に伴い,港湾管理者の財政は,従来にもまして悪化の一途をたどり,赤字額は昭和44年度には38年度の数倍に達すると予想されている。
  また,港湾施設の量的不足は使用効率の向上によつてカバーされなければならないが,港湾の中核的施設である公共埠頭の運営について従来の方法は,必ずしもその機能を十分に発揮したものとはいい得ず,主要港湾における低い経岸率,上屋貨物の長期滞留等の現象をみている。
  このように港湾管理者財政の改善,港湾の能率的運営,投資の効率性等が重要視されてきた現状においては,もはや港湾を公物的な考え方のみで律することには無理があり,諸外国の先進港においてみられる公企業的な考えを導入する必要があると思われる。企業的な港湾とは,船舶の回転時間を最短にすること,港湾荷役が安全迅速に行なわれること,荷さばき,陸上輸送機関への積替えが円滑に行なわれること等を目的として,経済的に建設され,かつ商業採算の原則に従つて運営されるものであることを必要とする。公共の用に供する港湾施設とそれを経由する貨物量が相当の規模に達した主要港湾では,能率的運営と企業性を考慮すべき運営組織をもつた公企業体に脱皮すべき段階にきたものと思われる。
  このような観点から,運輸大臣の諮問機関である港湾審議会に39年4月設けられた管理部会が,わが国主要港湾における財政および施設利用効率化の問題等管理運営の改善策について鋭意検討を行なつてきたが,去る10月11日上記趣旨により第1次的な答申を運輸大臣に対し行なつたのである。


第1節 悪化する管理者財政

第2節 港湾施設の効率的使用