2 鉄道車両輸出
昭和39年度における鉄道車両輸出契約実績は3,526万ドル(見込み)と,前年度(3,972万ドル)より11.2%の減少をみせ,わが国の総輸出額が通関ベースで対前年度比27.5%増と大きく伸びているなかで依然として伸び悩みの状態にある。
鉄道車両の輸出先は,現在25カ国におよんでいるが,39年度契約実績を地域別構成でみると,東南アジア55.2%,大洋州41%,中南米3.2%,中近東・アフリカ0.6%となつており,東南アジア諸国が比較的安定市場である。大洋州が38年度の2%から41%に拡大したのはニュージーランド向けの貨車輸出が急増したためである。車種別では毎年貨車,とくにタンク車をはじめとする特殊貨車が大きな割合を占めている。
このように伸び悩むわが国の鉄道車両輸出であるが,39年度における国際入札状況をみても,折角1番札または仮契約に持ち込みながら政府の輸出承認が得られず不成功に終るケースが少なくない。輸出不振の最大の原因が相手国の外貨不足にあるので,延払条件の緩和,借款等の経済協力的施策を一層強化する必要がある。
また,近年活発になつている海外技術協力も輸出振興の上で大きな意義をもつている。39年度においても政府ベースとして10カ国から20名の研修生の受入れ,インド,マレーシアへの専門家の派遣,スーダン,ヴェネズェラへの新線建設基礎調査団の派遣などが行なわれており,一方,民間ベースの技術協力を促進するため海外鉄道技術協力協会が40年6月に発足している。
|