第4節 都市鉄道近年における人口,産業の都市集中化は著しいものがあるが,特に,東京,大阪ではその傾向が著しい。また最近においては,都心部の住宅難,その他により増加する人口はその周辺部に定着する傾向にあり,周辺都市の一層のベットタウン化に拍車をかけている。 このため,東京,大阪,及びその周辺における鉄道の輸送人員は増加の一途をたどり 〔I−(I)−14表〕に示すとおり,前年度に比較すると東京附近では9%増の6,289百万人,大阪附近では18%増の3,565百万人となつている。また,通勤輸送は都心部に集中する傾向にあり《たとえば,東京都では,都心部3区(千代田,中央,港)への通勤通学者は総数の4割以上を占めている》周辺部市のいつそうのベットタウン化を反映して埼玉県西南部,神奈川県東部及び千葉県西部から東京都区部内への輸送を分担する路線の伸びが著しく,そ の線区の混雑度は,非常に高くなつており,輸送需要の増加に対して輸送力の増強が追いついていないことを示している。大阪地区でも同様の傾向があらわれており,大阪市周辺地区の輸送を担当する路線の混雑度の増加が目立つている。 このため各鉄道輸送機関とも,朝,夕のラッシュの現状は 〔I−(I)−15表〕 〔I−(I)−16表〕で示すとおり,異状なまでの状態であり,この対策として,後述の輸送力増強対策と併行して時差通勤・通学,改札止等を実施してラッシュ時間等の輸送の確保,混雑緩和につとめている。
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時差通勤,通学については,国鉄,民営鉄道とも政府の指導のもとに各会社,学校,官庁等に対し時差通勤,通学の強力な実施を呼びかけ,39年度においては東京附近では約72万人,大阪附近21万人の協力を得て,各線区とも輸送の平均化に努力した。
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