2 自動車の排気ガス


  自動車の激増及びその大都市集中により,交通渋滞の結果生ずる自動車の加速減速の数多い繰返しなどから発生する著しい自動車排気有害ガスは,新たな大気汚染源として注目されて,大きな社会問題となりつつあり,この具体的な規制の実現及びこれらに必要な調査研究の推進が強く要望されている。
  しかし,現在のところ排気ガス中に含まれる有害ガスの規制については,道路運送車両法及び道路交通法に概括的な規定があるにとどまり,定期点検整備の励行により自動車の整備状態を向上させて有害ガス排出を防止している状況であり,規制の具体的基準を制定しうる段階には至つていないが,これについては, 〔I−(II)−37図〕のように自動車排気有害ガスによる大気汚染防止に関する長期計画を樹て,具体的かつ効果的な対策の確立に努めている。
  ところで,本対策を推進するに当つての第一の問題は,自動車排気有害ガスが大気汚染に関与する程度を知ることであり,これが明確になれば有害ガスの許容量が定まり,排出基準の検討が容易になることと思われる。

  第二に問題になるのは,自動車の排気成分を調査し,排除しなければならない物質を決定することである。このためには,各種の走行条件及び整備条件の下での排気ガスの変化を把握する必要があるが,この問題については船舶技術研究所が39年度から連続的にガス分析が可能な測定装置を使用して「一酸化炭素」及び「炭化水素」の排出状況を調査している。
  第三に問題になるのは,排気ガスを簡単に測定できる装置であるが,委託研究の結果,39年度に既に試作品が完成しており,今年度は実用化の段階に入りつつある。
  以上のほか,クランクケース及び排気管から有害ガスを出さないような装置の開発を行なつており,39年度の補助金によりすでに外国で生産されているものの性能を試験した結果,開発を行なうための貴重なデーターが得られたが,今年度は実用的清浄装置の開発を進めることになつている。


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