第1節 開発の現況


  わが国における臨海工業地帯の重要性は,既存の四大工業地帯がすべて臨海部に形成され,これら四大工業地帯を結ぶ太平洋岸ベルト地帯に臨海工業地帯が発達し,わが国の工業発展の原動力となつていることからもうかがえる。
  しかも,わが国の工業立地条件をみるに,臨海部に立地することの有利性は大きい。すなわち,天然資源が豊かでないわが国では,工業原材料を大きく海外に依存しており,低廉な海上輸送を効率的に利用しうるので臨海部に立地することはきわめて有利な条件である。最近,船舶の大型化,専用船化等により海上輸送の合理化が進められつつあるので,この有利性はますます強められているといえる。
  さらには,わが国経済の高度成長とともに重化学工業の比重が増大しつつあり,これは,工業原材料,半製品,製品等の輸送の大量化を進め,ますます臨海工業地帯の有利性を強めている。また,臨海部では,広大な工業用地を計画的に取得することが可能であるとともに,既存の関連工業との連携が容易であることも有利な点といえる。
  わが国の既成四大工業地帯では,産業公害や人口の過密化等により過密都市の弊害が強く現われつつある。このため,全国総合開発計画では,拠点開発方式により地域開発の促進を図り,産業の過度集中を防止し,地域格差を是正することとしている。運輸省では,臨海工業用地の開発が地域開発上きわめて重要であることから,全国的な視野に基づき,長期的な見通しのもとに計画的に実施することが必要であると考え,すでに昭和37年9月に「臨海工業地帯開発計画(試案)」を策定し,これに従い工業用地の造成を積極的に推進しており,39年度からは,臨海工業用地造成5カ年計画に従つて計画的な造成を図つている。また最近臨海都市において,その過密化を緩和するための再開発用地の需要がたかまつてきたので,後述の都市再開発等用地造成5カ年計画を策定しその需要に応ずることとしている。
  これらの臨海部の土地造成事業は,そのほとんどが港湾管理者により行なわれているが,運輸省は,港湾管理者の事業実施に対して,港湾整備促進法に基づき地方債のあつせんを行ない,臨海工業用地等造成事業の促進を図つている。
  一方民間企業の行なう事業については,39年度より日本開発銀行および北海道東北開発公庫による融資の途が開かれた。

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