1　わが国の民間機の現勢

(1)　旅客機

　　旅客機は,昭和35年に日本航空(株)がDC-8を太平洋線に就航させて以来逐次ジェット化され,現在では,日本航空(株),全日空(株),日本国内航空(株),東亜航空(株)等の定期航空運送事業に使用されている機種の大半がジェット又はターボ・プロップ機で占められるに至つたが,大型化による座席数の増加およびジェット化による速度の増加により,その輸送力の伸びは著しいものがある。主な機種はDC-8,CV-880,B-727,VIS-828,F-27,YS-11等であるが,航空機利用客の増加と路線の拡張の

　必要性から機数も増加し,昭和39年に9機だつたDC-8が12機に強化されたのをはじめとして,中短距離ジェット機であるB-727が1機から全日空(株)5機,日本航空(株)1機となり,また近い将来,両社ともに増機する計画がある。
　　更に短距離用ジェット旅客機としてB-737,DC-9等が開発され,将来定期航空路線の使用機として活躍するものと思われる。
　　また昭和39年8月末に運輸省航空局の型式証明を取得した初の国産ターボ・プロップ旅客機YS-11は量産機の引渡しが逐次行なわれ,現在日本国内航空(株)が4機,東亜航空(株)が2機をそれぞれの路線に就航させているほか,全日空(株)にも既に3機が納入されている。

(2)　単発機,ヘリコプター等

　　農業用,宣伝用,訓練用として使用されている単発機の主体はセスナ,パイパー,ビーチ等の輸入機である。また最近は離着陸距離の短いことを特長とする単発機が輸入されるようになつた。単発機の機数は毎年増加しているが,総機数(グライダーを除く。)に対する割合は横ばいぎみである。
　　一方,ヘリフプターは,昭和36年度以降農業用としての需要が著しくベル47型ヘリコプターの登録機数が増加しているが,その総機数に対する割合は単発機同様,前年度とほぼ同じである。また昭和37年以降S-62,V-107,アルエット等のジェットヘリコプターも登録され,新時代を迎えたが,飛行機に比べて運航費が高く,都心のヘリポート設備が困難であり,計器飛行がまだ完全にできない等解決すべき多くの問題をかかえているため,大型ヘリコプターによる2地点間の旅客輸送事業は開発初期の状態を脱し得ず,もつばら物品運搬用として用いられている。いずれにせよ,大型ヘリコプター需要の開発は今後に残された課題である。