3 わが国の海外旅行収支


  昭和39年のIMF方式による海外旅行収支は 〔IV−13表〕にみるように,受取6,198万ドル,支払7,814万ドルであり,収支尻は1,616万ドルの大幅な赤字を示した。

  38年,39年の傾向をみると,受取は来訪外客数の増大に伴い着実に増加しているが,支払はこれをはるかに上回つて伸び,今後も海外旅行の自由化によつて日本人の海外旅行者はさらに増加していくものと思われるので,旅行収支の赤字傾向は避けられず,むしろ赤字幅が拡大していくことが予想されるところから,わが国海外観光宣伝の一層の充実強化が望まれている。
  38年の旅行収支を地域別に見ると, 〔IV−14表〕のようになる。これによると,旅行関係収支の受取の78%は米国及びカナダ(ほとんどがアメリカからのものと考えてよい)からであり,同年の来訪外客数中では,アメリカが50.9%,カナダが2.2%を占めている。

  わが国の受取総計中,北アメリカの比重はきわめて高いが,西ヨーロッパからの受取は,西ヨーロッパが世界の観光客送り出し市場として占める地位を考えると,少なすぎると思われる。地理的条件の不利はあるとしても,観光宣伝の強化によつて西ヨーロッパからの受取を増加させる余地は十分にあると思われる。


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