第1章 海難の発生状況とその背景

  最近における海運に対する輸送需要の増大に対処するため,わが国における船舶は年々増加するとともに大型化,高速化し,また,新しい技術の開発,利用が進められ,海運近代化のための努力が続けられている。一方,漁業においでも、漁獲能力の拡大のため,漁船規模,機関出力の増大,無線施設の普及,漁具,漁法の改良等が進められ,沖合い,遠洋へ出漁する漁船が増加している。最近,船舶の海難は減少傾向にあるとはいうものの,このような海運,漁業の進展に伴い,海上交通は逐年激化,複雑化してきており,一たび海難が発生すれば,多数の犠牲者を伴い,あるいは,公共の安全をおびやかすおそれのあるような大きな海難が頻発している。
  海運,漁業の健金な発展のためには,今後ますます激化する海上交通に対処し,海難を未然に防止するための諸施策を強力に進めるとともに,一たび発生した海難に対しては,これを迅速,適確に救助できるよう近代的な海難救助体制を確立しなければならない。


1 昭和40年における海難発生の概況

2 昭和40年における海難の特徴

3 海難の背景