2 鉄道車両輸出
昭和40年度の鉄道車両の輸出契約実績は,4,084万ドルで前年度実績の1,828万ドルに比べて,123.4%の大幅な増加を示しているが,これは前年度が非常に低調であったためであって,38年度と比較すれば2.8%増加したに過ぎない。なお40年の通関実績は4,125万ドルで対前年比53,0%の増加となっている。40年度も年初には新規契約の不振が続いたが,台湾中央信託局の一連の車両入札において,日本メーカーが受注に成功したのを始め,ニュージーランド向け客貨車の大量受注,タイ,マレーシア向け客貨車の受注などがあり,このような実績をあげることができた。
40年度の契約実績を地域別にみると,東南アジア諸国が2,985万ドルで73.1%を占め,依然として輸出の中心となっており,大洋州の648万ドル,15.9%がこれにつづいている。このよう.に鉄道車両の輸出は,ほとんど後進国の政府相手であるため,国際競争入札により購入されているが,外貨事鷹並びに政情はほとんど例外なく悪化しており,各国は鉄道車両の輸入に当っては大幅な延払いまたは政府ベースの借款を要請している。最近欧米先進国の車両メーカーは,外貨不足に悩むこれら後進国の経済事情に対処し,12〜15年という長期の延払い条件を提示しているため,おおむね7年延払いを限度とするわが国のメーカーは,非常に困難な立場に立たされている。
鉄道車両の輸出は,最近数年ぶりに上昇ムードにあるが,輸出対象国の外貨不足がいぜん慢性化しているので,今後とも輸出の飛躍的増加は期待できない。従つて今後の輸出振興策として,後進国向けの借款供与による相手国の購買力の拡大と,支払条件の緩和による長期延払いの実現が強く望まれているが,鉄道車両のメーカーにおいても,生産並びに企業の合理化を促進し,国際競争力を高めるとともに,ヨーロッパなど新市場の開拓に努める必要がある。
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