1 国鉄の輸送力増強


  数年来大都市における通勤,通学の混雑が大きた社会問題としてクローズアップされているが,国鉄においても輸送力増強対策として第1次5カ年計画(32年度〜35年度),第2次5カ年計画(36年度〜39年度)を実施し,合計725億円の資金を投入し,通勤通学輸送力の増強につとめてきたが,大都市人口増加に伴う急激な輸送需要の伸びに輸送力増強対策が追いつかないのが実情である。このような通勤輸送の混雑を打開するため,国鉄では第3次長期計画く40年度〜46年度)で通勤輸送対策を主要項目の一つとしてとりあげ,総額5,190億円という巨額の投資で基礎的輸送力増強対策を強力に推進することにしている。
  本長期計画の初年度にあたる40年度において,東京附近では713両の電車を投入して増発(東海道,常磐,高崎線等),編成長の増大(横須賀,中央緩行,南武,赤羽線等),電車の新性能化(京浜東北,根岸,総武線等)等を行ない輸送力の増強を図るとともに施設面においても赤羽,秋葉原,渋谷,上野駅等主要な駅のホーム,跨線橋,地下道等の改良を行ない混雑緩和を図つた。
  また,大阪附近においても169両の電車を投入し,大阪環状線の時間短縮,阪和線天王寺,鳳間の6両運転,山陽本線鷹取・西明石間の複々線化が完成した。
  なお,40年度の通勤電車の輸送力増強対策の実施状況は 〔I−(I)−21表〕のとおりである。

  41年度においても,更に本長期計画を推進する予定であるが,そのおもなるものは,線増工事では東海道本線新鶴見・小田原間,東北本線尾久・王子間,大阪外環状線の線増工事等に着手する。
  また,将来山手線,常磐線,大阪環状線の編成長増大化のための工事,旅客取扱設備の拡張工事を東京,上野,大阪,湊野駅等で着手するほか,将来地下鉄東西線と総武線,地下鉄9号線と常磐線との相互乗り入れのための西船橋および新日暮里駅の工事に着手する。
  車両についても京浜東北線の新型電車の置換,編成長大化を進めるため103型の投入,横須賀線,大阪快速の車両の半数以上を113型,115型(3つ口扉セミクロスシート)に置き換える計画である。


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