3 労働問題
民営鉄道には労働組合の連合体組織として,日本私鉄労働組合総連合会(略称私鉄総連),日本都市交通労働組合連合会(略称都市交通)および全国交通運輸労働組合総連合(略称交通労連)がある。このうち,私鉄総連と都市交通は総評に加盟し,交通労連は同盟に属している。私鉄総連と交通労連は私鉄の組合が中心となつており,争議権が認められているが,都市交通は公営企業の組合によつて結成されており争議権は認められていない。なお,これらの組織に属する組合員は私鉄総連(バスその他の交事業に従事するものを含む)19万7,854人,都市交通(バスの従業員を含む)6万1,480人,交通労連(バスの従事員を含む。)6万3,199人となつている。従業員数は5年前の昭和36年宋民営鉄道全体で13万282人で,内訳は私鉄10万576人(77%),公営2万9,760人(23%)であつたが,昭和40年末では民営鉄道全体で,13万1,460人で内訳は私鉄10万3,136人(79%)、公営2万8,324人(21%)となつており,全体では5年間に,1,178人の増加となつているが,私鉄が2,560人の増に対し,公営は1,382人の減少となつている。私鉄が増加した主な原因は営団地下鉄の新線開業によるものであり,公営の減少の主なものは路線撤廃にともなうものである。
昭和40年12月現在において大都市周辺の大手私鉄14社および営団の基準賃金は平均3万2,913円であり,全私鉄のなかから大手私鉄14社および営団を除いた私鉄(中小私鉄)では平均2万9,144円で両者には1人平均3,769円の格差がある。基準外賃金でも1人平均1,641円の開きがあるから1力月の収入で平均5,410円の格差がある。
前年同月の調査では大手14社と営団の平均基準賃金と中小私鉄の平均基準賃金とでは1人平均3,868円,また基準外賃金では平均2,038円の開きがあり,合計で5,906円の格差があつたから,1ヵ年間で基準賃金で99円,基準外賃金で39円,合計496円の格差縮小があり,中小私鉄の給与改善がわずかたがら大手私鉄を上回つている。対前年同月の上昇率では基準給与で大手私鉄14杜および営団が8%,中小私鉄9.5%となつている。
公営の給与は私鉄にくらべると異状なほど高水準にあり,なかでも六大都市のそれは特に高い。大手私鉄14杜と営団の平均基準賃金と比較すると,39年12月では1万円の開きがあつたのが,本年同月では1万1,673円となつており,格差拡大の傾向を示している6前年同月の給与水準と比較すると六大都市が平均基準賃金で9.9%,その他の公営が5.8%となつている。
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