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第3節 臨海工業地域の海岸防災
台風23号による神戸西部地域の被災は,今後の臨海部の土地造成について示唆に富む教訓を残している。
わが国の地理的条件からあるいは都市の発達状況からして,臨海部の土地造成は湾奥部に施行されやすく,かかる地域は必然的に高潮波浪災害の大きくなることが予想される。また湾奥部の既設工業地帯は地下揚水のため,いずれも地盤沈下を生じており,したがつて造成地の背後には零メートル地帯が拡がつている場合が多いのである。このような事情から,臨海部の造成地は海岸防災について本来入念な検討を必要とするものである。一方,近年の土地造成の機運に乗り,水深のかなり大きい海面まで埋立地が造成されるようになると,波浪に対してはもつとも悪い条件となり,越波を防ぐためには膨大な防災施設が必要となる。さらに防災上の危倶はこれだけに止まらない。すでに神戸の被災からもわかるように,臨海工業地域には石油などの危険物を取り扱う地域,あるいは劇薬類を取り扱う化学工業が多く,これらの製造施設,貯蔵施設が波浪によつて破壊した場合には大事になることは明らかである。通常の保全施設を越える波は,堤防法線より20mまでの区域に被害を与えるといわれており,かかる危険な施設は万一の場合を考慮して堤防法線より25m以上離れて設置することが望まれるのである。
以上述べたごとく,従来あまりにも造成地の開発にのみ関心が向けられたため,臨海工業地域の海岸防災は軽視されてきた感があるが,今後は単に開発の面のみならず,防災面を充分考慮して施行することが肝要である。
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