1 英国


  英国政府および造船業界は,造船業再興に非常に意欲的である。第一のあらわれが,前記フエア・フィールド社の再建計画であり,従来英国造船業の弱点であつた職種別労働組合制度にメスを入れようとしている。また,1965年5月半ばに開催されたオスロー海事展に13の造船所がコンソー・ジアム(企業集団)を結成して4万トン級のばら積貨物船の協同設計を出品し,コストを在来船に比して5%程度引き下げることに成功している。
  また,政府は産業界,学界の有識者を集めて特別委員会(ゲディス委員会)を設置し,業界の再編成,近代化,労使関係の改善などを検討させた。このゲディス委員会は日本をはじめとしてスエーデン等欧州各国の造船事情を調査し,1966年3月にその報告書を政府に提出した。その骨子は,業界を4〜5グループに再編成し,労使の協調を条件に,政府が設備資金,運転資金を供与しようとするもので,本報告は労使双方より歓迎されており,いずれ具体化されるものと思われる。
  さらに,巨大船建造施設で遅れをとつた英国は,地元シエルの入札でも日本、西独に完敗したため,現在ジヨン・ブラウン社が26万重量トンの施設建造計画を発表する等,遅ればせながら巨大船受注態勢の整備にも着手しはじめている。


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