2 ローカル線
札幌,東京,大阪,福岡の各都市間を結ぶ幹線以外の路線をローカル線といい 〔III−17表〕のとおり,北は稚内から南は奄美大島に至るまで全国的な路線網がしかれている。
現在,これら路線を運営する企業は,幹線をも運営している全日本空輸(株),日本国内航空(株)のほかに,大阪以西から中国,四国,九州および南方諸島のローカル線を運営する東亜航空(株)と長崎を中心とする路線を運営する長崎航,空(株)の4社がある。
年々,発展の一途をたどってきたローカル線においては40年度においても新たな空港の完成による新規路線の開設がみられたほか,旅客需要の増加に対応する既設路線の運航回数の増加等の拡充があった。反面東京―名古屋線においては,東海道新幹線の影響による旅客需要の顕著な減退という現象もあらわれた。
まず,40年度において新たに開設されたおもな路線のうち,名古屋―札幌線,名古屋―宮崎線,東京―帯広線,東京―青森線は需要沈滞期または季節的運航不可能のため年間運航は確保されなかったが,開設初年度の路線としては,まずまずの成績で,特に東京―青森線は旅客利用率80%をこえ,好調であった。
つぎに,就航機材についてみると,ローカル主要航空機として従来のF-27型機(25機)とCV-240型機(12)の40席程度のものから,60席の国産YS-11型機が40年度中に続々各路線に就航し,4日現在,全日本空輸(株)が3機,日本国内航空(株)が7機,東亜航空(株)が2機使用している。
このように路線の拡充,大型機の就航等から輸送供給量も,16億3,700万席キロと39年度に比較し33%の増加を示した。
一方,輸送需要についてみると,40年度は旅客数,旅客人キロにおいて,それぞれ対前年度比24%増および25%増となり,38,39年度の30%を上回る増加に比べてやや鈍化したが,幹線の旅客数の減少に対比すると基調として,増加傾向がつづいている。
この結果国内線の全輸送量(旅客人キロ)に占めるローカル線の比率は,39年度の33%から37%に上り,国内航空輸送におけるローカル線の比重がますます大きくなってきたといえる。しかしながら36年度以降,70%を下まわらなかった旅客利用率が40年度において66%に低下したことは注目される。
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