2 航空交通管制業務の拡充
航空交通管制業務の拡充の面では,前年にひきつづき航空交通管制のレーダー化および自動化計画に進展がみられたほかは航空路管制業務を行なう機関の統合強化,大阪国際空港での進入,出発を促進するための管制方式の変更などがあげられる。
航空交通管制のレーダー化計画は,昭和36年度予算に東京,大阪両国際空港の進入管制などのターミナル管制用にレーダー設置が認められ,その第1歩を印したものであるが,そのご37年度予算から3年計画で東京航空交通管制部に航空路管制用長距離レーダーおよび名古屋空港にターミナル管制用レーダー,38年度から同じく3年計画で宮崎空港にターミナル管制用レーダー,40年度から2年計画で鹿児島空港にターミナル管制用の空港監視レーダー,本年度予算では2年計画で仙台空港にターミナル管制尾の空港監視レーダーの設置がきまった。
以上のレーダー計画のうち,東京国際空港については39年2月から,大阪国際空港については40年11月から,名古屋空港については本年5月から管制業務に使われており,進入および出発交通の迅速化に大きな効果をあげている。
東京航空交通管制部および宮崎空港のレーダー化は既に設置工事をおわり調整中である。
航空交通管制の自動化計画は,管制業務近代化の最重要事項の一つとして進められており,39年度から自動化の要件について調査費が認められたのち,40年度からは3年計画で電子計算機によるデータ処理装置の購入設置等に必要な経費が計上されてこれらに伴う調査研究が進められている。
今回の自動化は,その計画の第一段階であって東京航空交通管制部における飛行計画資料の処理,飛行情報の更新,異常接近の探知,資料の表示等の機能を自動化するものである。
航空路管制業務を行なう機関は,従来,航空交通管制本部(東京)のほかに札幌,三沢,福岡に設置されていたが,40年8月に三沢の航空路管制機関を札幌へ統合して航空路管制機関を3カ所とした。これに伴って航空路管制組織の強化を図るため,従来は航空保安事務所に所属していた札幌および福岡の各管制機関を航空交通管制部として組織化するとともに,航空交通管制本部を東京航空交通管制部と改称して,3航空交通管制部制を確立した。
大阪国際空港においては,交通量が多いうえに滑走路などの空港施設や無線航行援助施設の拡充がおくれているため,到着および出発の遅延が目立っていたのであるが,この対策として管制方式の改善を行ない,本年4月から実施している。すなわち,従来,河和―信太―高松の各無線標識経由であった航空路グリーン4を河和―大津―伊丹―高松経由として大阪国際空港を自的地としない通過機は北回りとし,同空港への重要な進入,出発日であった南側空域を同空港への進入出発用に重点的に使用できるようにした。
また,これに伴って同空港における進入管制業務の範囲が大幅に拡大されたので新レーダーの活用とあいまって同空港への進入遅延はかなり改善されている。
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