第1部 昭和41年度の運輸経済

  昭和39年10月ごろから後退を続けてきたわが国経済は,40年秋から回復に転じ,41年度に入つてからは急速な拡大傾向をたどつた。景気の上昇は,41年度上期にはなお財政需要の増大に支えられた面が強かつたが,月を追つて設備投資を中心とする民間需要が増大し,下期には本格的なものとなつた。
  昭和41年度の運輸経済幸は,このような経済の拡大を反映しておおむね順調に推移した。これを総合輸送活動指数でみると, 〔1−1−1図〕に示すとおり,40年度後半からゆるやかな上昇を続けてきた輸送活動は,41年度にはいつて急激な上昇に転じ,41年度の総合輸送活動指数(昭和35年=100)は278.2となり,40年度に比べて25%の伸びを示した。これは景気の回復に伴つて国内輸送特に国内貨物輸送が大幅に増加したことによるものである。すなわち,国内旅客輸送は貨物輸送ほど景気変動の影響を受けず,41年度の国内旅客輸送活動指数は303.3で対前年度比22%増と40年度の伸び率18%をやや上回つた線を維持した。これに対して国内貨物輸送は,41年度に入つて急速に活発化し,上半期で著しい上昇を示したため,下半期に伸びなやんだにもかかわらず,41年度の国内貨物輸送活動指数は251.9となり対前年度比28%増と40年度の伸び率が2%に過ぎなかつたのと比べて著しい相違がみられた。

  一方,国際輸送活動指数は,貿易規模の拡大,国際交流の活発化に対応したわが国外航商船隊の拡充,国際航空網の整備を反映して毎年20%近い伸びを示しており,41年度も前年度に比べて21%の伸びを示した。