1 輸送機関別動向


  昭和42年度の旅客輸送は, 〔1−1−12表〕に示すとおり,各輸送機関とも対前年度を上回つたが,個々の伸び率についてはかなりの差がみられた。

  まず国鉄についてみると,41年度において前年度に比べて人員・人キロとも減少を示した定期外旅客は42年度において再び増加に転じた。定期外旅客の人キロの増加分55億人キロのうち新幹線によるものが62%の34億2,200万人キロを占めており,定期外旅客の伸びに東海道新幹線の占める割合が大きくなつてきている。
  私鉄については,大都市における大手私鉄を中心とした輸送量の伸びと通勤通学難,公営および地方中小私鉄における輸送量の低滞,減少といつた問題が依然存続しているといえ,42年度においては全体的にみると定期,定期外ともほぼ順調な伸びを示した。
  自動車については,41年度と同様,営業用バスの不振,自家用バスおよび自家用乗用車の顕著な伸びが目立つている。とくに自家用乗用車は,41年度に引き続き2年連続してその伸びが人員において30%台,人キロにおいて40%台を維持しており,この傾向をいつまで持続するかが注目される。
  航空旅客は41年度においては航空事故の影響もあつて,前年度に比べ減少したが,42年度においては商用,観光旅行の活発化,積極的な市場開拓の努力等によつて事故の影響から脱却し,急増傾向を示している。
  42年度におけるおもな旅客輸送の動向は以上のとおりであるが,これを輸送分担率でみると,人員では自動車52.1%,私鉄27.1%,国鉄20.5%,定期旅客船0.4%となり,人キロでは国鉄41.7%・自動車37.2%,私鉄19.5%,航空0.9%,定期旅客船0.8%となつた。人キロにおいて自動車が国鉄と肩を並べるまでに至つた点が目立つている。


表紙へ戻る 次へ進む