第3節 交通公害の防止経済成長に伴つて,公害というひずみ現象が各地で発生し,地域的に一般化,広域化し,質的にますます国民の生活環境を変化させている。このため政府は42年8月に「公害対策基本法」を施行し,今後の公害についての基本的考え方や公害に取り組む基本的姿勢を明らかにし公害防止対策を積極的に推進することとした。 運輸に関する公害としては,船舶の油による海水の汚濁,自動車の排気ガスによる大気汚染,自動車による騒音,航空機による騒音,鉄道による騒音等があり,さらにこのほかに運輸省の所管する行政分野において,鉄道車両工場,造船所等から排出される工場排水,港湾都市における地盤沈下の問題がある。42年度を中心とする運輸省関係の公害対策関係予算額は 〔1−6−4表〕のとおりで,42年度から予算が大幅に増加している。
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42年度において,交通公害防止対策として新たにとられたもののうち主要なものとしては,船舶の油による海水の汚濁については「船舶の油による海水汚濁の防止に関する法例により,150総トン以上の油送船および油送船以外で500総トン以上の船舶については50海里以内の海域での規箭対象油の排出を禁止し,また2万総トン以上で42年11月21日以降に建造契約が行なわれた船舶については規制対象油の排出を全面的に禁止することとなつた。また,同法の規制対象となる全船舶に対し,油記録簿の備付け,記載等につき義務を課すことなどの措置がとられることとなつた。自動車の排気ガスに対する規制としては,新車については排気ガスの排出基準が,昭和41年9月より新たに生産にはいる新型車に適用されたのに引き続き,42年9月からはメーカーの生産する新車全部について適用されることとなつた。また,使用中の自動車に対しても42年12月に排気ガス対策点検整備要領を定め,同要領に規定する項目について,点検整備を実施するよう自動車使用者および整備関係者の指導を行なつている。
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