3　民営鉄道の旅客輸送

　　昭和42年度の旅客輸送量は 〔I−(I)−５表〕のとおりであり,輸送人員では92億3,000万人で対41年度比2%増,輸送人キロは863億人キロで対4年度比4%増と41年度にあらわれた大手私鉄および営団の旅客運賃改定等による伸びなやみ状況からようやく脱却する傾向を示している。

　　これを事業規模別に輸送人員でみると大手私鉄および交通営団は定期,定期外旅客とも対41年度比5%増で今までの増加率(36年度から40年度までの平均増加率,定期8%,定期外6%)をやや下国つた増加にとどまつた。
　　一方,公営の定期,定期外旅客はいずれも対41年度比6%減と著しく減少しており,中小私鉄においても定期,定期外旅客とも41年度に比べ1%内外減少した。
　　公営の旅客数は,36年度までは漸増傾向にあつたが,36年度以降は自動車の進出等により伸びなやみ,39年度以降は路面電車の撤廃等もあり,減少傾向をたどるようになつた。また,中小私鉄においては,30年代は横ばい状態に推移したが,ここ数年来営業廃止も多く,人口の過疎化や所得の向上,道路整備の進捗による自動車の進出のため40年度からは定期外旅客が減少している一方,通勤・通学のための定期旅客は横ばい状態であり,定期・定期外旅客人員の構成比率は35年度57:43から42年度62:38となつている。
　　大手私鉄および交通営団について豊は42年度の回復状況からみて,41年度にあらわれた旅客輸送量の減少は,旅客運賃改定による一時的なものとみてよいであろう。