第3節 内航の船員需給
内航の船員需給に関する動きとして,まず目につくことは,帆船の著しい隻数減である。これは老朽機帆船が解撤されていることに加えて,帆船として鉛舶登録されている機帆船の汽船への登録替え(41年約850隻)が進んでいることによる。一方内航の汽船は,解撤機帆船の代替建造船および帆船から登録替え等により増加しているが,41年についてみると,その増加(約700隻)は,帆船の減少隻数(約2,000隻)をはるかに下廻つている。これに伴ない41年には内航の船員数は40年に比べ5,000名近く減少している。また,内航の船員離職率は大手企業のグループを除いて全体として上昇傾向を示している。
一方,内航の採用船員の前歴をみると,(1)経験船員が職員で95%,部員で67%の高率を占めていること,(2)その大部分は内航の経験船員であること,(3)新規学卒者のうち約半数は中学卒に依存していることが目につく。(以上第1節の1〜3表参照)
ところで,内航の船員需給のバランス状況を示すものとしては,汽船船員の求人充足率の低下(262頁参照),船舶職員法違反事件の増加傾向(266頁参照)等があり,内航においては,帆船の急激な減少にもかかわらず,船員確保が十分に行なわれず,船員不足の状態にあることがわかる。
この内航の船員不足については,いくつかの原因が考えられるが,(1)賃金その他の労働条件および労働環境に,外航と比べ格差があること,(2)高い離職率に示されるごとく,予備員制度が普及せず雇用関係が不安定であることなどが主たる原因であると考えられる。
その対策として,労働条件および労働環境の改善,雇用関係の安定(船員の定着率の向上),職業紹介活動の強化,船員教育の改善等を進める必要がある。
なお,高校進学率の上昇傾向が続いているので,高校の新規学卒者の部員採用比率を高めうるよう企業体制を整えていく必要もある。
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