第2節 航空機の運航の安全確保


  航空機の運航の安全確保のため,航空法に基づいて案施する業務に,機長路線資格審査,運航規程の認可,運航開始前の検査,立入検査,情報の提供等がある。
  定期航空運送事業の高度の安全性および定時性を確保するためには,機長に対して当該航空機およびその就航する路線についての十分な知識と経験とが要求される。このため,はじめてその路線の機長になるものに対しては,航空局の飛行審査官が,路線および緊急操作について実地審査を行ない,その技能を認定している。この知識,経験の中には,ごくたまにしか必要がないがきわめて重要な緊急時の対策操作などが含まれており,かつ,これらの技能は,常に一定の水準を維持していなければならないので,路線については年間1回,緊急操作については年間2回定期的に審査を実施している。また,定期航空運送事業会社には運輸大臣が認定した査察操縦士を置き,これに査察を行なわせ,運輸大臣は書面審査を案施している。査察操縦士に対しては,航空局の飛行審査官が1年に2回その能力について実地審査を行なつている。
  航空運送事業者についてその事業内容等に応じ運航の安全を確保するため,運航管理の実施方法,航空機乗組員等の勤務に関すること,航空機の運用,操作および点検方法等を内容とする運航規程の認可を行なつている。また,事業の開始にあたつて運航開始前検査を行ない,事後運航規程の実施を確保するため年1回立入検査を実施し,必要ある場合は改善の勧告を行なつている。
  航空情報には,航空銘誌(AIP)およびノータムがある。航空路誌は,航空に不可欠な永続性をもつた情報を国際民間航空条約の基準にしたがつて編集したもので,各締約国相互間に交換されており,毎月1回改訂版を発行している。ノータムは,一時的性質のものおよび利用者に迅速に伝達する必要のある場合に発行する情報であり,永続性をもつものは,後に航空路誌に収録される。42年度にわが国が発行したノータムは,総数12,914件で,うち国際的に配布したもの861件,受領した国際ノータムは19,989件であり,航空の発展にともなつて取扱う情報も急速に増加している。


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