1 鉄道車両工業
鉄道車両工業は,鉄道車両製造業,同部品製造業及び鉄道車両修理業に分かれている。これらのうち鉄道車両製造業は他の2業種を兼ねているものが多い。鉄道車両製造事業者は,総数19社,関係従業員は約2万3,900人で,このうち車両生産額50億円以上の企業は9社あり総生産額の85%を占めている。しかし鉄道車両のみを生産している工場は一つもなく,多かれ,少なかれ他の機種,例えば鉄骨,橋梁,建設機械,特殊自動車等の生産も行なつている。
鉄道車両の生産は,鉄道事業者からの注文生産であり,季節により又は年度によつて波動性が多く,しかも多種少量生産のため量産効果が少ない。また輸出についても,輸出先の殆んどが発展途上国であり,慢性的な外貨不足に悩んでおり車両の購入方法についても技術面よりむしろ価格や支払条件などの問題が多い。従つて設備投資については,従来から極めて慎重かつ消極的であつたため労働装備率は低く,労働集約性から脱しきれず,人件費の昂騰のため収益率は年々低下の傾向にある。このような傾向は,多分に国際的であつて現にOECDにおいても,この事態に対処するための検討がなされようとしている。
なお鉄道車両製造業は資本の自由化に対処して第3次機械工業振興臨時措置法に基づき,45年度目標に企業の合併,品種の専門化等を強力に推進している。
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