2 経営内容


  以下に述べる数字は,乗合バス,貸切バス,ハイヤー・タクシーの各事業について,それぞれ50社を保有車両数規模別の分布に比例するよう抽出し,その対象事業者の経営内容を集計分析したものである。

(1) 収益性

  43年度の旅客自動車運送事業の収益性を表わす一つの指標として営業収益利益率をみると, 〔I−(II)−17表〕の(1)に示すとおり前年度と比較し,乗合バス20%,ハイヤー・タクシー3.2%それぞれ悪化しているが,貸切バスは赤字の幅を0.3%縮め,わずかながら回復している。
  つぎに業種別の内容についてみると,まず乗合バスにおいては,人口の都市集中化,モータリゼーションの進展等により輸送人員が伸びなやみ,さらに,輸送原価の大半を占める人件費が労務賃金の高騰により年率約10〜15%増加したため,これに伴う経費増が利益を圧迫し,利益率を低下させる結果となつた。また,こうした人件費増のすう勢は経営上大きな問題点であり,この対策として,いつそうの合理化を図る必要がある。
  一方,貸切バスにおいては,(1)レジャーブームを反映し輸送人員が増加したこと,最近における道路の整備,車両性能の向上に伴い走行キロが伸びたことによる営業収益の増加,また,(2)設備投資の手控えによる減価償却費,金融費用の軽減等の要素が重なつてわずかながら利益率は好転したが,不況の影響を強くうけた40年度の落込による累積赤字は依然改善されず,欠損状態が続いている。

  ハイヤー・タクシーは,さきの乗合バスと同じような傾向を示している。43年度の営業収益は,都市における交通渋滞等の影響で前年度比7.5%増にとどまつたのに対し,営業費用は,人件費をはじめ諸経費が前年度比10.8%増と営業収益を大幅に上回つたため,利益率が大幅に悪化した。

(2) 生産性

  昭和43年度の旅客自動車運送事業の1人当り付加価値額(労働生産性)は 〔I−(II)−17表〕の(3)のとおり,前年度と比較し,乗合バス4.8%,貸切バス12.2%,ハイヤー・タクシー1.0%それぞれ向上したが,業種によつてかなり差がみられる。
  乗合バスは,ワンマンバスの導入等合理化努力により,前年度比4.8%増と引き続き向上しているが,人件費の上昇率(前年度比11.5%増)が大幅だつたため,生産性の伸び率は,人件費の上昇率を大きく下回る結果となつた。一方,貸切バスは,車両の高性能化,大型化,合理化により従業員を削減したため労働装備率は大幅に増加し,労働生産性も前年度比12.2%増と旅客自動車運送事業中最も大幅な向上となつた。ハイヤー・タクシーは,経営の悪化によつて設備投資を手控えている実状にある。したがつて,設備投資効率(設備生産性),労働装備率とも前年度より下降しており,労働生産性もわずか1.0%の向上にとどまつた。


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