1 世界の航空輸送界における民間航空機の動向


  昭和43年12月末現在,ICAO加盟国の航空会社が使用している最大離陸重量9トン以上の航空機の総数は6,771機で,その内訳はターボ・ジェット機12,934機(全体の43.3%),ターボ・プロップ機1,365(同20.2%),ピストン・エンジン機2,472機(同36.5%)となつている。傾向としては,ターボ・ジェット機が増加する一方,ピストン・エンジン機が減少し,ターボ・プロップ機はあまり変化がないことがうかがえる。また,各種機材の有効トンキロからみた輸送力の割合は,機数において43.3%を占めるターボ・ジェット機が年間輸送力の87%と大部分を占めており,機数において56.7%を占めるターボ・プロップ機とピストン・エンジン機が,残りの13%を提供しているに過ぎない。
  つぎに,43年における新しい機材の就航状況についてみると,ジェット機は736機(旅客機565機,貨物機171機)の引渡しが行なわれた。ジェット旅客機のうち主なものはDC-9(163機),B-727(123機)B-737(103機)及びDC-8(74機)である。また航空会社へ引渡されたターボ・プロップ機は211機(旅客機202機,貨物機9機)で,このほとんどすべてが短距離用の機材でピストン,エンジン機を代替するものである。
  また,この年発注されたジェット機の数は,合計618機で,うち旅客機523機であつた。空の大量輸送時代をむかえて,大型旅客機に対する発注が著るしく増加しているが,特に新たに出現した近距離用の大量輸送を担う,いわゆるエア・バスといわれるロッキードL-1011およびDC-10(旅客定員は約300名前後)に対する発生は,それぞれ136機および72機と目立つて多い数字を示している。
  一方,今までに189機の発注のあつたB-747は,昭和44年2月の初飛行以来現在も試験飛行が続けられており,同年10月にはFAAの型式証明が得られる筈で,同年11月頃より一部の路線に就航する予定である。SSTの方は,現在試験中のものとして英仏共同開発になるコンコードと,ソ連のチュポレフTu-144があり,目下設計中のものとして米国のボーイングB-2707がある。コンコードは当初の計画より1年余り遅れて昭和44年3月に初飛行を行なつたところで,昭和48年中頃には型式証明が与えられるものと見られている。Tu-144は,昭和43年12月に初飛行に成功しているが,その後の詳細は不明である。B-2707は今だに原型機が製作されておらず,大巾な遅延が伝えられている。


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