第2節 事故防止対策
輸送の安全確保は公共輸送機関の基本的使命であるので,国鉄,民営鉄道ともに従来から保安施策の整備拡充,従業員の資質の向上等その対策の実施に努めてきた。
すなわち,国鉄では事故防止対策の基本として長期計画により,線路増設等輸送施設を拡充して線路容量の増大を図るとともに,従業員に対する労働科学の活用,教育訓練の充実に努めている。
また,運転保安設備の整備としては,40年度全線に対してATSの設置を完了し,引き続きATSの改良,閉そくの自動化・連動装置の継電化及び信号方式の改良整備を行なうとともに列車無線装置,限界支障報知装置等列車防護用設備の開発整備を重点とした対策を実施している。
民営鉄道にあつては,輸送需要の増大に対処するための大都市近郊における輸送力増強対策の推進とともに,従業員に対する教育訓練の充実による資質の向上を図ることはもとより,運転保安設備の近代化等の事故防止対策を実施している。
特に大都市周辺の輸送密度の高い線区に対しては,従業員の責任事故等による重大事故の絶滅を図るため,42年度から44年度までの3年間にATS装置を設備することを重点とした保安対策の推進を図つており,44年度において概ね指定線区の設置が完了し,更に他の線区についても各事業者において自主的に設置工事が推進されている。
運転事故のうち大きな比重を占めている踏切事故の防止については,「踏切道改良促進法」に基づき,今後も立体交差化,踏切道の構造及び保安設備の整備を推進し,また踏切の間隔の短い踏切道については,関係者の協力を得て整理統合,交通規制に努力している。
たま,列車脱線事故のうち,いわゆる競合脱線事故について,その原因究明を急ぐとともに,脱線防止のための設備改良として車輪の改造,脱線防止ガードの取付,記録式速度計の取付などを推進している。
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