第7節 自動車販売事業


  自動車販売事業の特色は,デーラーがメーカーごとにはつきりと系列化していることおよび同一系列下にあつても車種別,地域別に,デーラーが細分化されていることである。また,デーラーの多くは,顧客へのサービスを兼ねて自動車整備業,部品販売業,付属品販売業,自動車保険代理店などを併営している。
  資本の自由化を前に自動車メーカー間のシエア拡大競争は激烈を極めているが,前述したメーカーとデーラーの関係から,メーカー間のシエア拡大競争は結局デーラー間の販売台数競争という形をとつて現われることになり,自動車販売業界の競争の激しさはほかに類を見ないほどである。
  このような状況の下に,各デーラーはその販売台数を増加させるため,新車の値引き,中古車の高値下取り(新車販売の約70%は中古車の下取りをして行なわれており,自動車の普及に伴いこの数字はさらにふえつつある。)などの方法により激しい価格競争を行なつており,とくに中古車の高値下取りは,その売却可能価格をはるかに越えて行なわれている。このため多くのデーラーにおいて自動車販売部門(中古車販売部門を含む。)の収支は赤字になつており,併営部門からの収益や割賦販売手数料,メーカーからの賞金などでようやく息をついているのが現状である。
  また,自動車の販売は割賦販売により行なわれることが多いが,デーラーはいずれも自己資本が少ないので,割賦販売に要する膨大な立替え資金のほとんどをメーカーや金融機関からの借入れに依存しており,このために生ずる支払利息も大きく経営を圧迫している。さらに,近年の人手不足や人件費の高騰も,人手を多く要する自動車販売業にあっては深刻な問題である。
  以上のように,現在自動車販売業界は苦しい経営にあえいでおり,自動車販売部門で収益をあげ,併営部門は顧客に対するサービス部門とするという本来の自動車販売業のあるべき姿にたどりつくには,中古車の下取り価格の適正化,割賦販売金融制度の整備などが必要であるが,とくに現在,道路の混雑,交通事故の激増あるいは排出ガス問題など自動車をめぐる各種の問題が発生し,自動車産業全体が大きな転換点にさしかかつているときにあたり,自動車販売業界が節度ある販売競争を展開することが望まれる。

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