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第2節 わが国をめぐる国際航空の問題点
わが国を中心とする国際航空の現状は,日本航空が22カ国31都市へ乗入れを行なつており(週間便数158便),一方,わが国へは27の外国航空企業が乗入れており,その週間便数は,合計359便を数えるに至つている。このほか不定期航空業務であるチヤーター便も増加の傾向にあり,特に45年度においては万博が開催されたためその傾向は著しい。
このように,わが国のここ数年来の経済,文化の発展を反映して,外国航空企業によるわが国への乗入れおよび日本航空による諸外国への運航は近時ますます活発化しているが,一方,わが国をめぐる国際航空は,ジヤンボジエツトの導入,米国の「太平洋ケース」の具体化に伴う太平洋線の競争激化,シベリア路線開設等により新たな転換期を迎えようとしている。
まず,「太平洋ケース」については,昭和44年4月,米国民間航空委員会が行なつた新免許の決定の結果,従来中部太平洋路線のみを運航してきたパンアメリカン航空に米国各地から北部太平洋路線(大圏コース)による日本乗入れが認められるとともに,北部太平洋路線のみを運航してきたノースウエスト航空に米国各地から中部太平洋路線による日本乗入れが認められ,また,フライングタイガー航空については,新たに米国各地から日本への貨物専用便の運航が認められた。このような太平洋ケースの具体化は,中部太平洋路線しか有せず,米国本土内に3地点しか有していないわが国航空企業の競争上の立場に著しい影響を及ぼすこととなつた。このため,わが国はシカゴを含む大圏コースの獲得等日本側路線の強化を目的として,44年度において2回にわたり米国と交渉を行なつた。この結果,わが国は,大圏コース経由ニユーヨーク路線及びサイパン経由グアム路線を獲得したが,わが国航空企業が太平洋において,大きな経営規模を有する複数の米国企業と競争しつつ,順調な発展をとげていくためには,今後とも,シカゴの獲得を中心とする日本側路線の拡充強化を図るべく米側と折衝を続ける必要があり,このための交渉が本年末までに行なわれることになつている。
また,ジヤンボジエツト(B-747)の導入については,45年3月パンアメリカン航空が太平洋線に週7便の運航を開始したが,その後7月に至り,日本航空,ノースウエスト航空も運航を開始し,45年9月1日現在,日本航空週9便,パンアメリカン航空週14便,ノースウエスト航空週14便,合計週37便の運航が行なわれている。同機の提供席数は約360人とこれまで太平洋線を運航しているDC-8,B-707型機に比し,約2.7倍となつているため,太平洋線の競争は今後ますます激化し,また将来においては東南アジア諸国の航空企業も大型機材の運航を開始するものと考えられる。このような競争に対処していくためにも,わが国航空企業の一層の経営の合理化が望まれる。
シベリア路線については,45年3月28日からわが国およびソ連の航空企業が,モスクワ経由西欧への自主運航を開始し,その後フランス,英国の航空企業もモスクワ経由日本への乗入れを開始した更に北欧三国の航空企業も45年1月の交渉の結果,46年春以降運航を開始できることとなつた。同路線は,従来の日欧間連絡路線であつた北極回り路線に比し,所要時間が約2時間程度短縮されるので,今後シベリア路線に対する旅客の選択性向が強まり,日欧間の主要連絡路がシベリア経由路線となる傾向は不可避であると考えられる。このため,現在シベリア路線の運航権を有していないドイツ,オランダ,イタリア,スイス等がわが国に対し本路線経由での日本乗入れを要求してきている。わが国としては,従来の北極回り路線においては欧州内の乗入国企業との間に2分の1のシエアが確保できるが,シベリア経由路線においては欧州内の乗入国企業の他ソ連航空企業の参加を招来し,場合によつては供給過剰のおそれもあることからシベリア経由路線によつて日欧間の連絡が行なわれる場合の旅客および貨物の流れを的確に把握し,かかる公衆の需要によりよく適合する路線パターンを実現するとともに,現在,北極回り路線に最大の便数を運航している日本航空に対して経営上の悪影響を与えることなく,シベリア経由路線への円滑な移行を図ることを目標として,かかる要求に慎重に対処して行く必要がある。
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