2 日本人の海外旅行の状況


  45年における日本人の海外旅行者数は 〔IV−6表〕のとおり前年比32%増の93万6,205人と前年に引き続き大幅に増加した。このうち,沖縄へは前年比24%増の27万2,738人,沖縄以外へは前年比35%増の66万3,467人であつた。45年は大阪で万国博が開催されたにもかかわらず,海外旅行に出かけた者が大幅に増加したこと,とくに沖縄以外への海外旅行者が増大したことは注目される。

  このように,海外旅行者が増加している主な要因には,所得水準の向上と余暇の増大が挙げられるうえ,これに加えて,バルクフエアー(一括契約包括旅行運賃)の採用,旅行業者によるパッケージ・ツアーの普及等による旅行の低れん,容易化などが考えられる。
  海外旅行者を目的別にみると 〔IV−7図〕のとおり,45年は前年に引き続いて観光を目的として出国する者が業務渡航者を上回つて全体の半数以上を占めた。39年からの一連の海外渡航自由化以来,観光目的は比重を高めてきており,海外旅行者が増大するにつれて構成比においても増加する傾向がみられる。このため今後,海外旅行者の増加のうちでもとくに観光を目的とする海外旅行の伸びが著しいものと考えられる。

  45年の海外旅行者の出国時期は例年のとおり8月がピークで,続いて10月,11月の順に多く出国している。このように,とくに8月に出国する者が多いのは,夏休みを利用して多数の学生等が海外旅行をすることが原因と思われる。
  海外旅行者の沖縄以外の旅行先を受入国の統計によつてみると 〔IV−8表〕のとおり,45年は香港,台湾にそれぞれ17万人前後訪れており,ついで米国,ヨーロツパ諸国となつている。このように,香港,台湾に多くの日本人旅行者が訪れる原因としては,地理的に距離が近く海外旅行が手軽に楽しめるということが大きなメリツトとなつているものと考えられる。

  海外旅行者を出発港別にみると,空港が全体の83%,海港が同じく17%となつており,航空機を利用しての海外旅行がさらに増加している。この傾向は今後も続くものと思われる。


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