5 日本万国博覧会


  日本万国博覧会は,世界各国から77ヵ国の参加を得て,45年3月15日から9月13日までの183日間にわたり,大阪府下茨木市千里ヶ丘で開催され,成功裡に終了した。
  開催期間中の入場者は6,400万人に及び万国博史上最高を記録した。入場者の内訳は 〔IV−12表〕のとおりで,外人客の入場が170万人に及んでいるのは注目される。

(1) 外客誘致活動

  海外向け宣伝活動としては,(特)国際観光振興会が42年度から44年度まで毎年1億1,000万円の予算をもつて海外宣伝用ポスター,パンフツト等に記事を挿入して日本万国博覧会の宣伝を実施した。

(2) 宿泊設施の整備

  万国博の開催に伴い,多数の外客の来訪が予想されたので,外客向け宿泊施設の確保を図るため,日本開発銀行,中小企業金融公庫等政府関係金融機関からホテル,旅館の建設に際して融資された額は,70億円余に及んでおり,その結果,近畿地区におけるホテル,旅館の客室は,既存の客室とあわせて,万国博開催までに9,000室程度に整備された。

(3) 外客優遇措置

  日本人旅行者の増大や,ホテルの利用率の増加等を考慮すれば,外客の宿泊施設の確保はなお困難と考えられたので,43年7月に,国際観光ホテル整備法により登録を受けたホテル業者に対しては,基準客室の70%を,同じく旅館業者に対しては基準客室の50%を,開催期間中外客に優先的に提供するよう指示するとともに,また,運営面でも,宿泊予約制度の合理化による空室の解消等の積極的な施設の有効利用,適正料金で良好なサービスを提供できる体制の維特等に努めた。さらに,44年12月にはホテル業者および旅館業者ならびに旅行あつ旋業者に対し,万国博開催期間中の外客の接遇について指示する等関係機関の協力を得て趣旨の普及徹底を図つた。
  また,(特)国際観光振興会,(社)日本観光協会,(特)日本商工会議所および(財)日本万国博覧会協会が中心となつて,44年5月に国際観光食事店推せん協議会を設け,外客の利用に適する食事施設の推せんを行なつた。
  また,日本万国博覧会の開催を機会に国民外交の実をあげるため,外客に対しての親切運動を実施し,交通運輸業者,宿泊業者等関係団体等に対して,「親切運動」について通達し,趣旨の徹底に努めた。
  また,来訪外客の言語上の不便を解消するため,国際観光振興会が中心となつて,“GOOD WILL GUIDE"運動を実施した。


表紙へ戻る 目次へ戻る 前へ戻る