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第1節 沖縄の運輸の現況
沖縄は,戦後長期間にわたり,国の施政から離れていたため,本土とは別の経済圏を形成してきている。
その産業構造は,パイナツプル,砂糖を中心とした第1次産業,企業規模の小さい第2次産業,基地依存度の高い第3次産業からなつており,これら各産業の基盤は,その多くが零細であり脆弱である。
しかし,沖縄の経済は,毎年引き続き拡大を続けており,昭和41年から45年にいたるここ5年間の県民総生産は平均17.4%と本土におとらぬきわめて高い成長を示し,個人消費支出でも平均15.0%の伸びを示している。これは,民間の努力による経済規模の拡大もあるが,例年,県民所得の30%前後を占める基地関係収入および日米政府の財政援助収入の増加によるところが大きいためである。
この特徴は,県民所得の70%が第3次産業によるという著しい産業構造の傾斜となつて現われており,さらに,沖縄が全県離島ともいうべき地理的特性をかかえ,また経済社会が戦禍による壊滅状態から出発していることを考えあわせれば,経済の進展があつても,所得水準,産業基盤,生活基盤等においては,本土に比してその格差がきわめて大きいといえる。例をあげれば,沖縄の県民所得は,1人あたりについて本土と比較すると6割強の水準であり,公共資本投資の格差も,国民ないしは県民の総生産に対する政府固定資産形成の前記5年間の累計の割合いを比較すると,本土8.5%に対して沖縄は6.0%にすぎない。
沖縄のこのような経済の状態のなかにあつて,運輸の現状をみると次のような特徴をあげることができる。
(1) 港湾,空港等の産業基盤施設は,経済の成長による建設投資の増加にもかかわらずその立ちおくれは著しい。
沖縄は,四面海で数多くの島しよからなつているため,物資の輸送の多くは海運によつているが,港湾の整備は十分でなく,最大規模の那覇港においては,滞船現象を現わしており,その率も高い。また空港についても,観光,商用,業務等の需要の増加および所得の向上により航空機利用が著しく増加しており,那覇空港の旅客ターミナル施設などではすでに飽和状態になつている。
(2) 沖縄には鉄道輸送施設がなく,陸上交通はもつぱら自動車に依存しており,経済の発展と所得の向上は,モ一タリーゼーシヨンをかなり進展させている。しかし,道路網の整備は立ちおくれているため,ことに都市部における交通渋滞ははなはだしく,都市機能を低下させ,産業経済の運営を阻害する要因となつているばかりでなく,この状態は,産業構造の高度化に伴う人口の都市集中化および郡部,離島における過疎化と相まつて,公共輸送機関である乗合バスの存立を困難にしている。
(3) 離島は,沖縄の経済社会のなかで経済的にも時間的にも距離の隔たりを余儀なくされており,産業の開発もおくれている。このため離島間の輸送は海運においても航空においても産業航路としてではなく,離島住民の生活航路としての役割を果たしてきている。
(4) 観光は,沖縄が優れた亜熱帯性自然景観,沖縄固有の民俗文化等の観光資源に恵まれているところから,沖縄経済の重要な部分を占めているが,観光をとりまく各産業の基盤の整備や環境の形成が十分ととのつていない。
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