第4節 福利厚生


  船員は,海上労働の特殊性から,洋上を移動する船舶内で労働し,かつ,これに居住することが通常であるため,陸上労働者に比較して家庭生活,一般娯楽,医療等の面において社会生活上不利益な状態におかれている。
  このため,船内福祉の充実強化を図るはもちろん,短い停泊中の余暇の間に憩いを得られるよう港における船員厚生施設の整備を図る必要があり,このことは,国際労働機関の勧告にみられるように国際的な要請となつている。
  47年6月1日現在の船員厚生施設は,国内に宿泊施設354・収容定員14,515,休憩施設7・収容定員226,授産施設1・収容定員9世帯,養老施設1・収容定員100があり,このほかに青少年船員の福祉施設として陸上勤労青少年と共同利用の勤労青少年ホーム約150がある。また,医療施設としては,病院14・病床数2,585,診療所251病底数43,休療所10・収容定員179がある。
  一方,海外においては,カルカツタに宿泊施設1・収容定員25,シンガポールに休憩施設1・収容定員25,ラスパルマスに休憩施設1・収容定員50がある。
  しかしながら,近年の急速な社会経済の変動のなかで,賃金等の労働条件の面では,かなり改善が進んでいるが,技術革新の進展に伴う船舶の自動化,省力等の結果,大型船にあつては少数の船員のみの生活からくる孤独感,疎外感などによる種々のトラブル,また船内荷役施設,港湾施設の整備改善によつて入港時間が短縮され,上陸の機会が一層少なくなることに対する不満など,船員の福祉について新たな観点から対処しなければならない問題が生じている。一方,近年の労働協約改訂においては,船員の有給休暇日数は,大幅な増加を示しており,船員が陸上において長期にわたる休暇を過すことになるので,この余暇を有効に活用して,豊かな労働力の再生産を行なうための施策も必要となつているが,とくに青少年船員,女子船員については,労働力の確保,定着性の向上,労働の保護等の観点から福祉の増進および地位の向上を図ることを目的とした福利厚生対策が急務となつている。
  このような状況に対応して,船員厚生施設の整備を促進するかたわら,青少年船員および女子船員を主体とした船員の福祉の増進に関する気運の醸成,再教育を含む職業訓練の充実,職場環境の整備,余暇時間の有効な利用についての指導等を内容とした総合的施策を早急に樹立する必要がある。

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