3 海洋技術開発


  今後の新しい海洋開発利用の進展に対応する技術の開発は,まだ緒についたばかりのものが多く,特に海洋環境の保全,海洋での安全確保に関する技術開発は,今後に残された大きな問題である。
  このため,45年以後3次にわたり,船舶技術研究所及び港湾技術研究所の海洋技術開発に係る部門の組織拡充を図つて,これら研究所を中心に研究開発を強力に推進している。
  また,民間の技術開発については,その育成をはかるため,日本開発銀行の融資のあつせん,試験研究補助金の交付等助成策を推進している。47年度には,「石油掘削船の建造」,「吊クレーン船の建造」に対して,開発銀行の融資が行われ,「海洋自動水質監視装置の開発研究」,「汚濁された海面を遠方から探知する研究」等に補助金が交付される。
  47年度において実施した研究開発は概略次のとおりである。

(1) 海洋開発用機器に関する研究(45年度開始,3か年計画)

  海洋開発用機器を構成する各種の基本的形状物体模型を用いて強制動揺,拘束旋回等の実験を行うことによつて物体に働く流体特性を明らかにし機器の運動を数値的に把握するための研究である。47年度は,強制動揺実験及び波の強制力の測定研究のほか,計画の最終年度として,研究資料の取りまとめを行つた。

(2) 超軟弱地盤対策工法とその効果に関する研究(46年度開始,5か年計画)

  海底の軟弱地盤に対処する工法の開発は,海洋構造物の建造にとつて重要な課題であるので,石灰による地盤改良工法の実用化及び設計の標準化をはかるため,粘土及び改良土の地震時の挙動の解明とその耐久性について研究を行つている。47年度は,前年に引き続き,基礎的問題の研究を行い,粘性土の作動特性,改良粘土の特性を把握するとともに,施工機械の実用開発が行われた。

(3) 岩盤浚渫に関する研究(46年度開始,5か年計画)

  高圧ジエツト水及び電磁波による岩盤破砕装置の研究開発,実用化を促進する。47年度には,岩石破砕機構の解明,電磁波特性と岩石の関係の究明,電磁波による岩盤破砕実験施設等の整備が行われた。

(4) 浮遊及び有脚式海洋構造物の耐波性及び構造に関する研究(47年度開始,5か年計画)

  浮埠頭,浮防波堤等の耐波性と水理機能に関する研究及び水深50メートル程度までの有脚式構造物の構造設計に関する研究である。
  47年度には,浮埠頭の動揺,浮防波堤の防波能力及び碇着力,浮体に作用する波力,大型杭構造物の波浪,地震等に対する挙動,大水探杭構造物の破壊機構,防衝システムに関する研究が行われた。

(5) その他

  海洋環境保全のための研究開発として,大量流出油処理,海水汚染水理の解明,汚染測定及び監視に関する技術等が推進されている。


表紙へ戻る 目次へ戻る 前へ戻る