第2節 事故防止対策
輸送の安全は,公共輸送機関の基本的使命であるので,国鉄,民鉄とも,従来から保安施設の整備拡充,従業員の資質の向上等その対策の実施に努めてきた。
国鉄では,事故防止対策の基本として,従業員に対する教育訓練の充実及び作業環境の整備を推進することにより,職員の取扱い誤りによる事故防止に努めている。また,運転保安設備の整備としては,自動信号化,継電連動化,CTC化を行うとともに,乗務員無線電話の拡充,構内無線の整備及び指令設備の近代化等を重点とした対策を実施している。
47年11月6日,北陸本線北陸トンネル内における列車火災事故については,「特別監査報告書に基づく運転事故防止対策の実施について」の通達により国鉄では,車両の不然化,長大トンネル内の防災設備,避難設備,緊急連絡設備及び異常時における乗務員の即応体制等について,49年度末完了を目途にトンネル内列車火災事故防止対策を推進している。 また,48年2月21日新幹線大阪運転所構内において,回送列車が脱線した事故については,調査委員会を設けて原因を徹底的に究明するとともに,同種事故の再発防止に対する諸対策を樹立,実施した。
民鉄では,輸送力増強対策の推進とともに,運転保安設備の近代化,車両の不燃化,制動装置の改善等の事故防止対策を実施している。特に,大都市周辺の輸送密度の高い線区に対しては,従業員の責任事故等による重大事故の絶滅を図るため,ATS装置の設置を重点とした保安対策の推進を図つている。指定線区への設置は45年3月に完了したが,更に,大都市圏の拡大に対処して,他の線区についても設置工事を推進している。また,46年3月富士急行において発生した制動装置の破損による列車逸走事故にかんがみ,車両の制動装置の安全性,その改善方法等の保安対策を樹立し,所要の改善を推進している。
運転事故のうち大きな比重を占めている踏切事故の防止については,45年10月27日「ダンプカーによる事故防止対策及び踏切道の緊急保安対策」更に,これを拡充して46年2月8日「踏切事故防止総合対策」を交通対策本部決定し,これに基づいて,踏切道の立体交差化,構造改良,保安設備の整備,統廃合及び交通規制等の措置を積極的に推進している。
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