1 自動車損害賠償責任保険


  自動車損害賠償責任保険は,自賠法第3条の規定による保有者の損害賠償責任が発生した場合における保有者及び運転者の損害を保険会社がてん補するものである。この保険は,構内自動車等一部の例外を除き,原則として全ての自動車(原動機付自転車を含む。)が付けなければならないことになつており車検がある自動車は車検時に保険証明書の提示が義務づけられているため,ほぼ全車が加入しているが車検が行われていない軽自動車と原動機付自転車については,それぞれ84.7%,54.3%(いずれも46年度末,責任共済加入車を含む。)の加入率にとどまつている。軽自動車については一部を除き48年10月から車検が行なわれるため,このほとんど全部が加入することが期待されるが,他については引き続いて無保険車監視制度,保険加入促進PRの実施に努める必要がある。
  保険金額は,44年11月に引き上げられて以来のもので,死亡500万円,傷害50万円,後遺障害金500万円(1級)〜19万円(14級)となつている。保険金の支払状況は, 〔I−(II)−26表〕のとおり,46年度中に総数714,544人に対し総額2,471億円の保険金が支払われた。45年度に比較して総額で3.9%,1件平均2.0%の増加となつている。

  保険収支は,自動車数の増加に伴う保険料収入の増加と,大都市における交通渋滞による事故減少等に伴う保険金支払の減少とによつてここ2〜3年来好転しており,累積赤字を解消して黒字化することが見込まれる。
  保険料は,47年10月に営業用乗用自動車について地区別調整が行われたほかは,44年11月以来ほとんど変わつておらず,主要な車種では,営業用バス75,500円,大都市のタクシー123,700円,営業用トラツク91,900円,軽自動車8,350円(以上1年もの),自家用乗用自動車35,450円(2年もの)となつている。
  保有者と被害者との関係が配偶者,同一生計に属する親子,兄弟姉妹であるようないわゆる親族間事故についても,47年10月18日以後,被害者保護の見地から合理的範囲において損害賠償額(保険金)の支払を行わせることとし,従来支払われなかつた事案で時効により消滅しているものであつても48年10月31日までに請求のあつたものについては調査のうえ支払われることとなつた。


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