1 今後の外航海運対策における問題点


  我が国の外航海運対策は,昭和45年11月に策定された「改定新海運政策」に基づき推進されてきたが,その後我が国経済が高度成長指向型から,安定成長下での福祉指向型に大きく転換し,国民福祉の充実と国際協調の推進とを目指した新経済計画の検討が進められるとともに,我が国外航海運をめぐる環境にも著しい変化がみられたため,これらに対応した新しい外航海運対策の策定が必要になつた。
  このため,47年9月,運輸大臣は海運造船合理化審議会に対し「最近における我が国海運をめぐる環境の変化にかんがみ,今後の外航海運対策はいかにあるべきか」について諮問を行い,これを受けて同審議会において審議を重ねた結果,48年1月,長期的な海運対策については当時なお改定作業中であつた新経済計画の策定をまつて更に審議を継続することとし,当面の外航海運対策として次のような内容の中間答申を行つた。
 (1) 建造量「改定新海運政策」で予定されていた48年度(29次)及び49年度(30次)の計画造船建造量(各380万総トン及び420万総トン)は,最近の荷動きの動向からみて過大であるので,48年度は200万総トンとし,49年度は250万総トンを目標とすること。
 (2) 財政措置「改定新海運政策」で打出された海運企業の自主自立体制の確立という基本的方向は今日でも変らないが,外航海運をめぐる諸情勢の変化にかんがみ,48,49両年度の計画造船に対して予定されている助成条件を,47年度(28次)並みの条件まで高めること。
  今後の長期的な観点に立つた海運対策については,更に同審議会で審議されることとなつているが,国際的に資源枯渇が問題とされ,資源の確保が深刻化している情勢をふまえながら,邦船として保有すべき船腹量,邦船の競争力,船員問題,開発途上国の自国海運育成策等政府介入の動きなどの問題点について検討をすすめる必要があろう。
  いずれにせよ,我が国海運は,こうした問題を抱えて重大な転換期にさしかかつており,関係者一体となつて問題の解決に前向きに対処していくことが切に望まれる。


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