3 船舶の検査体制の充実
運輸省は船腹量の増大及び技術革新に伴う船舶の専用化等に対処するため,船舶検査官の研修の強化,船舶検査官の適正配置,認定事業場制度及び型式承認制度の拡大,予備検査対象品目の拡大並びに検査事務の合理化等船舶の検査体制の充実を期するよう努めている。47年7月には,船舶の建造着手前に行う設計審査の強化を図るため,従来の設計審査に加えて一部の特殊船舶に関する基準を新たに追加した。
また,47年10月に発見された不良溶接工事にかんがみ,不良溶接工事が行われた造船所で建造され,不良工事の疑いのある船舶について点検を行つたが,その結果,いずれの船舶も不良溶接工事はなく,この不良溶接工事は極めて特異なものであることが明白となつた。この事例を契機として,500総トン以上の船舶の建造能力を有する造船所に対して品質管理のあり方について一段と指導を強化する一方,自主点検を行わせる等船舶の安全性の確保に努めている。
なお,船舶の安全性は船舶検査,船舶所有者及び船長の行う自主的な技術基準の維持により確保されることとなつているが運輸省では,特に旅客船を対象として般舶所有者及び船長が船舶の点検整備を怠りがちな年末年始に立入検査を実施した。更に,48年5月発生したカーフエリーの火災事故にかんがみ,全国のカーフエリー事業者に機関部の整備点検に重点を置いた発航前検査を厳格に励行させるとともに,全旅客船について設備の作動状況,操練の実施状況,運航管理体制等に関する点検及び火災の際の防火操練,退船操練を実施させた。
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