2 宿泊施設
(1) ホテル・旅館
ア 整備及び利用状況
47年末現在の宿泊施設の現況は, 〔IV−15表〕のとおりで,旅館業法により営業許可を受けているホテルが611軒,旅館が80,085軒となつている。このうち,外客接遇に適する施設として,国際観光ホテル整備法により登録されたものはホテル262軒(42.9%),旅館1,270軒(1.6%)である。1軒当りの客室数をみると,登録ホテルでは148.5室,登録旅館では45.4室となつている。
最近においては,大量輸送時代の到来及び地価の高騰等に対処するため,ホテル,旅館の大規模高層化が急速に進展しており,特に登録ホテルにおいては,客室規模が1,000室をこえるものが東京及び大阪で6軒に及んでおり,また旅館においても200室以上の規模を有するものの出現が顕著になつてきている。
これらの宿泊施設のうち,ホテル客室利用率を主要ホテルについてみると,45年は81.5%であつたが,46年は73.8%と低下し,47年は75.3%と若干上昇傾向をみせている。ホテル,旅館の客室整備状況(登録ベース)は 〔IV−16表〕のとおりであり,特に京浜地区,地方都市におけるホテルの客室の増加が目覚しい。
イ 経営状況
主要ホテル,族館の経営状況について,まず,経営規模をみると 〔IV−17表〕のとおり,ホテルでは99.2%までが会社経営であり,しかも,資本金5,000万円以上のものが78.0%であるところからみて大企業的色彩が濃厚であるのに対して,旅館では,個人経営が3.9%,資本金1,000万円以下のものが62.8%を占めていることからもうかがわれるように中小企業の色彩が強く出ている。近年,大手企業が観光産業に進出するのに伴い,大規模な旅館も出現しているが,全般的にみると会計処理等においても前近代的経営を行つている所が多い。
主要ホテル,旅館の収支状況をみると 〔IV−18表〕のとおりで,室料,食事料及び飲食料が収入の大半を占めており,支出の中で大きい費目は,材料費,人件費,支払利息及び減価償却費である。
次に主要ホテル,旅館の資産,資本構成をみると 〔IV−19表〕のとおりで,同定資産の占める割合が,ホテル81.7%,旅館82.4%と全産業の44.0%に比べて著しく高い。
一方,自己資本比率は全産業なみに低いので,固定負債比率は,全産業の倍近くになつている。
ウ 国の施策
我が国の国際的地位の向上,経済の発展等に伴う来訪外客の増大に対処するとともに,都市の機能の充実強化を図り,もつて社会経済活動の円滑化に資するため,その基盤施設としてのホテル及び旅館の整備について,日本開発銀行(一般資金及び地方開発資金),北海道東北開発公庫及び中小企業金融公庫等の政府関係金融機関が融資を行つている。特にこれらの融資制度を通じて来訪外客の大衆化傾向,国民旅行需要の増大等に対処するため比較的低料金で利用できる中級ホテル,旅館の整備促進を図ることとしており,このため48年度には,融資対象範囲の拡大,貸付限度額の引き上げ,償還期間の延長など融資条件の改正が実施された。
また,国際観光ホテル整備法に基づき登録ホテル,旅館に対しては減価償却資産の耐用年数の短縮及び地方税(固定資産税)の軽減という税制上の優遇措置を講じている。
なお,政府関係金融機関からの融資実績は 〔IV−20表〕のとおりである。
(2) ユースホステル
公営のユースホステルは,昭和33年度より国が地方公共団体に対して補助金を交付し,その整備の推進をはかり,42年度までに全国に74か所(5,120ベツト)を完成し,地方公共団体によつて維持管理されている。
このほか,大津市に国立ユースホステルセンター(310ベツト)を設置し,ユースホステルの運営に関する調査研究及び指導を行うなど,全国のユースホステルの中枢機関としての役割を果している。
国立及び公営のユースホステルの利用状況は 〔IV−21表〕のとおり年々増加の傾向を示し,46年の宿泊利用は約83万人で,その利用率は40%台に達しており,集会室利用とを合わせると利用人員は約104万人になつている。
上記のほか,低廉な宿泊料金をもつて利用できる公営等の宿泊施設及びその利用状況は 〔IV−22表〕のとおりである。
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