第2節 貨物輸送昭和48年の我が国の輸出は,369億2,997万ドルで前年に比べ29.2%の増加,輸入は383億1,360万ドルで63.2%の増加と,いずれも近来にない大幅な増加となった。これを地区別にみると,輸出については,通貨調整による我が国の価格競争力の低下に伴い米国向けのシエアが急速に低下した以外は,いずれも著しい伸びを示したが,輸入については大きな変化がみられなかった。 48年の外航海運による我が国の貿易量は,輸出5,124万トン,輸入6億119万トンで,前年に比べそれぞれ3.4%,17.2%の増加となった。金額の伸びが数量的な伸びを大きく上回ったのは,円切り上げ,国際的なインフレーション等による輸出入価格の上昇が大きく寄与しているためである。輸入の品目構成をみると,原油,鉄鉱石,石炭,木材,石油製品の5大宗貨物で輸入貨物の84.2%を占めている 〔1−2−4図〕。邦船による輸送量は,輸出2,190万トン,輸入3億9,592万トンで前年に比べそれぞれ10.3%減,23.4%増となった。また,邦船の積取比率は,輸出で42.7%(外国用船を除く場合26.6%),輸入で65.9%(同43.7%)である。積取比率の近年の傾向をみると,輸出が減少傾向にあるが,これは主要輸出品である鉄鋼及び自動車の積取比率の低下によっている。また輸入については横ばいの状態である。 近年の世界の海運需給と海上運賃の推移は 〔1−2−5図〕のとおりである。
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運賃については,不定期船,タンカーともかつてない好況を示した。これは船腹の需給バランスが船主に有利に傾いたことによるものである。しかし,タンカー市況は10月のアラブ産油国の石油輸出削減に伴い急激な下降線をたどった。一方,不定期船市況はタンカー市況暴落の影響も少なく,前年来の好況を維持し順調に推移したが,49年に入って市況は軟化傾向にある。
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