3 省輸送の推進


  環境問題,交通空間問題,労働力問題等の制約要因にエネルギー問題を加え,運輸をめぐる経済社会情勢が厳しさを増す中で,省エネルギー対策の一つとして,輸送量自体をコントロールすることによる省輸送体系の推進も必要であろう。
  交通需要自体の調整に関しては,都市再開発,地域開発に際しての各社会的要素の適正配置,自己完結的な地方経済圏の育成等が要請される。
  また,物流は流通のサブシステムとして商流のしわ寄せを受け易く,個別企業の枠を越えた協業化の推進等が困難であるなど難しい問題を抱えているが,これの推進に加え商慣習の変革などの流通機構の改革,きめ細かい末端配送サービス等の輸送サービスは高くつくということについての消費者の認識を深めることが緊要となっている。
  より短期的には,トラックターミナル,共同集配施設,流通港湾等の運輸関連施設の整備と都市内物流の円滑化を図る共同集配システム等のシステム化の推進によりかなり多くの交錯輸送,重複輸送等の無駄な輸送の排除が達成し得るものと考えられる。また輸送需要を的確には握し,輸送供給能力の効率的な活用を図るため運輸情報システムの推進も必要となっている。
  また,必ずしも不可欠でない輸送を通信回線等を利用することにより代替することが望まれる。ただ,これには儀礼的なあいさつ回りの廃止等の生活慣習,社会慣習の変革に負うところが大きい。
  以上に概説したように,エネルギー高価格体系の下における産業構造の変化等の経済情勢の変化に弾力的に対応しつつ省エネルギー型輸送構造への転換を図るほか,48年末の石油危機の経験を踏まえて,今後同様の事態が発生した場合に混乱を最小限とし可及的迅速,かつ有効に対応しうるような体制の整備,輸入資源の輸送を担う商船隊の整備,資源保有国等との国際協調の推進等が緊要となっている。


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