1 鉄道車両工業鉄道車両製造業者は15社,関係従業員は約1万5,000人である。このうち車両工業の生産額50億円以上の企業は8社である。 鉄道車両の生産は,鉄道事業者からの注文生産であるため,生産の波動が大きく平準化ができにくく,かつ,多種少量生産の労働集約型産業であり,量産効果を上げることが困難な産業である。鉄道車両工業界においては,引き続き,生産設備の近代化,省力化を推進したが,エネルギー危機に伴う原材料の高騰,部品の入手難,人件費の上昇等により,経営は好転していない。 昭和48年度の鉄道車両の生産実績は 〔I−(I)−20表〕のとおり,928億円で,前年度に比べ23.8%の増加となり,過去最高の生産額を記録した。需要先別に見ると,国鉄向け686億円,前年度比33.7%の増加を示したが,それは新幹線車両の増備,在来線のダイヤ改正,スピードアップ等のための車両の増備,新型寝台客車及びコンテナ貨車の投入等によるものである。民需では,164億円で,14.2%の増となっているが,これは通勤電車及びタンク貨車等の整備によるものである。輸出については,アルゼンチン向け等の電車,ソ連向けの客車を中心に伸びているが,貨車(無がい貨車)が前年度比63.8%の減,ディーゼル機関車は前年度比69.4%の減となったため,生産額は78億円で,前年度比84.4%に減少した。
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次に,48年度の鉄道車両の輸出契約実績を車両及び同部品でみると, 〔I−(I)−21表〕のとおり,約1億5,400万ドルで,前年度比では,59.8%増となった。これは,円借款及びその他政府の助成措置,各車両メーカーの企業努力,韓国やアルゼンチン向けの大口車両輸出の成約等によるものである。
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