1 自動車損害賠償責任保険


  自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は,自動車事故(人身)の被害者の損害てん補の確保を目的とする強制保険であり,被害者の保険会社に対する直接請求制度保険金支払,保険経理等につき国の関与を確保するための再保険制度等により,社会保障的な保険として国民生活に大きな役割を果たしている。
  自賠責保険の保険金額(限度額)は,44年11月以降据え置かれていたが,最近の賠償水準の動向等にかんがみて48年12月1日に,死亡については500万円を1,000万円に,傷害については50万円を80万円に,後遺障害については500万円(1級)〜19万円(14級)を1,000万円(1級)〜37万円(14級)に,それぞれ引き上げた。保険金の支払状況は 〔I−(II)−26表〕のとおりである。保険加入率については,車検,登録の義務づけられている自動車は保険に加入していないと車検,登録を行わないことになっており,ほぼ100%の加入率に達している。車検が義務づけられていない軽自動車と原動機付自転車については,それぞれ83.5%,52.2%(47年度末,責任共済加入車を含む。)の加入率にとどまっている。このうち,軽自動車については,48年10月から一部を除き車検が開始されたので,加入率が高まるものと思われる。また,検査対象外軽自動車と原動機付自転車については従来から行ってきた無保険車監視員制度等により保険加入促進に努めるとともに,加入率を更に向上させるため,1年契約に加えて2年,3年契約の保険もかけられるようにして,保険の更新もれによる無保険車の減少を図った。


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