第3節 福利厚生
近年における船舶の技術の進展は船舶の大型化,機関の自動制御化を促し,居住性と労働環境の向上をもたらしたが,反面,持続的監視作業の増加,乗組員相互間の対話の機会の減少等の問題を提起した。また,船内荷役設備の改善と港湾施設の近代化等により,船舶の港における停泊時間は短縮され,船員の上陸の機会が減少してきた。
このような状況に対応するため,船員が入港時に休憩,宿泊する福利厚生施設の整備が特に必要となっており,昭和48年度においては,徳山海員会館,四日市港第2船員会館の宿泊施設が新築されたほか,小樽病院,大阪病院等の医療施設が改築整備された。
この結果,49年4月1日現在,自社施設を含めた国内の船員厚生施設は,宿泊施設357,休憩施設8,授産施設1,養老施設1,病院13,診療所26となった。
また,海外にはカルカッタに宿泊施設1,シンガポール及びラスパルマスに休憩施設各1がある。
一方近年の労働協約の改定によって,船員の有給休暇は大幅に増加しており,これがため,これら休暇の有効利用を図るための諸措置が要請されている。
また,青少年船員,婦人船員等については,それぞれ勤労青少年福祉法及び勤労婦人福祉法に基づく青少年船員福祉対策基本方針並びに女子船員福祉対策基本方針を,船員中央労働委員会の答申に基づき,49年10月11日策定し,今後これら船員に対する福祉施策の推進を図ることとした。
更に,船員の財産形成の促進等の諸措置についても充実する必要があり,これについては,労働組合のない未組織船員であっても船員の過半数を代表する者と事業主との協定によって財形貯蓄が行えること,勤労者財産形成基金契約等の諸措置を行うこと等を内容とする勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を第72国会に提出したが成立をみなかった。
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